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2024.01.11
相談員ブログ

何故高齢者は餅を詰まらせやすいのか

【餅つきイベント】
老人ホームで盛り上がるイベントの一つとして、餅つき大会を行う施設もあります。
私も餅つきイベントの準備をしていた時に、看護師から「もしもの時のために、掃除機を綺麗に消毒しておいて」と言われました。
餅つきが始まると大盛り上がりで、スタッフがキネをウスに振り下ろすたびに、入居者が「ヨイショ!」「ヨイショ!」と大きな掛け声をかけます。
のみ込みやすく工夫された餅を、入居者が堪能している間も、看護師たちはピリっとした雰囲気で、喉詰まりを起こす人がいないか注視しているのでした。

【何故高齢者は餅を詰まらせやすいか】
餅による高齢者の事故を消費者庁が2018年から2019年にかけて調べたところ、43%が1月に14%が12月に発生し、特に正月三が日に多いことがわかりました。
高齢者が餅を喉に詰まらせる理由として以下のことがあげられます。
・唾液が少ない
高齢になると唾液を分泌する唾液腺が小さくなり、唾液の分泌量が減少してしまいます。
唾液が少なくなれば、食べた物を喉の奥へ送り込むことが困難になります。
そのうえ、餅は粘着性が高いので、喉にへばりついてしまうのです。
・嚥下がうまくできない
飲み込んだものが気管に行かないように嚥下反射が自然になされますが、高齢になると喉の筋力の低下とともに、嚥下反射の機能も低下していきます。
そのために誤嚥を起こしてしまい、餅が気管に侵入することで、窒息しやすくなってしまうのです。
・噛み切る力が弱い
高齢化に伴い、顎の筋肉が低下することから、食べ物を細かく噛み砕き、飲み込みやすい状態にすることが難しくなっています。
特に餅は噛み切りにくい食べ物なので、塊のまま飲み込むことによって喉詰まりが起きやすくなります。

【喉詰まりの防止策】
餅を喉に詰まらせないように次のことを心掛けましょう。
・あらかじめ餅は小さく切る
チョコレートのひとかけらサイズほどに薄く細かく切っておきましょう。
・水分を一緒にとる
餅を口に入れる前後に水分をとったり、汁物の中に入れたり、水分のあるものと一緒にして、唾液の補助にしましょう。
・納豆や大根おろしと一緒に食べる
納豆や大根おろしをまぶすと、餅の粘着力が弱まるので、飲み込みやすくなります。
・よく噛んで飲み込む
普段の食事の時以上に注意して、少量ずつ口に入れ、よく噛むことで唾液の分泌を増やしてのみ込みましょう。
・餅の代替品を利用する
歯切れよく安全に食べられる白玉団子や、片栗粉と豆腐を混ぜ団子にしたものを提供しましょう。
・食事に集中する
餅を食べている時に会話やテレビに夢中になると、よく噛まずに飲み込んでしまうので、注意しましょう。
・一人で餅を食べないようにする
もしもの時に備えて、誰か直ぐに対応できる人と一緒に食べましょう。

【もしも詰まらせてしまったら】
もしも餅を食べて、咳込んで苦しそうにしていたり、声が出なかったり、顔色が悪いなら、詰まらせている可能性が高いです。
直ぐに119番に連絡すべきですが、救急車が到着するまで、対処法として下記のようなことがあります。
・背部叩打法
手のひらの付け根部分で、肩甲骨の中間あたりを数回以上力強く叩きます。
・腹部突き上げ法(ハイムリック法)
対象者の後ろから両手を脇に通し、腹部に手を回します。
次に一方の手を握りこぶしにして、親指側をへそより少し上にあて、もう一方の手で手前上方に向け圧迫するように突き上げます。
何回か行った後、寝かせて口内を確認し、餅が見えたら除去します。

餅を食べる時は楽しい時になりますように、心掛けてまいりましょう。







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