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2024.03.29
相談員ブログ

肝炎について

【肝炎とは】
本来肝臓は再生能力が高く、手術でその半分を切り取っても、元の大きさまで再生できるほど丈夫な臓器です。
しかし肝炎になると徐々に肝臓の機能が失われ、肝硬変や肝がんといった再生不可能な病気に進行するリスクがあります。
肝炎とは肝臓に炎症が起きている状態、すなわち肝臓の細胞が破壊されている状態です。
原因としては以下のように分類できます。
・ウイルス性肝炎
肝炎ウイルスによる(詳しくは下記)
・薬剤性肝炎
医療機関で処方される薬剤の他、漢方薬や健康食品、サプリメントなどが原因となります。
大量服用による中毒性の場合と、薬物に対する生体反応により発症する特異体質性の場合があります。
・アルコール性肝炎
アルコール性脂肪肝の状態で飲酒を継続することで発症のリスクが高まります。
重症例として肝性脳症、肺炎、急性腎不全、消化管出血などを伴う重症度アルコール性肝炎があり、発症すると1か月以内で死に至ることもあります。
・自己免疫性肝炎
何らかの理由で免疫が肝臓を破壊してしまうことがあります。

【ウイルス性肝炎とは】
日本においてはウイルス性肝炎が肝臓病全体の80%を占めています。
肝炎の原因になるウイルスの主なものは、A・B・C・D・E型の5種類ありますが、D型肝炎は日本では滅多に起こることはありません。
日本には慢性肝炎ウイルス感染者(主にB型肝炎、C型肝炎)は150~200万人いると推測されています。
しかし、実際に治療を受けている人は50万人に過ぎず、多くの人はウイルス肝炎に感染していることに気づかずに生活している可能性があると言われています。

【A型肝炎・A型ウイルス感染(HAV)について】
A型肝炎は、上下水道が整備されていない衛生環境が悪い地域で多く見られます。
感染者の便中に排出されたウイルスで汚染された水や食品(魚介類など)を介して感染します。
また、性行為でも便を介した経口感染が起こることがあります。
主な症状はだるさや食欲不振、黄疸(皮膚と白眼が黄色くなる)があります。
[治療法]
A型肝炎にはウイルスを抑える治療薬は無く、症状に応じた治療を受けたら安静にしておくことが大切です。
慢性化することはなく、ほとんどが自然治癒します。
[予防]
衛生環境が悪い地域では、生水、生肉、生野菜を食べないようにします。
また、衛生環境が悪い地域へ行く場合はワクチン接種で予防ができます。

【B型肝炎・B型ウイルス感染(HBV)について】
B型肝炎は、体液によって感染します。
以前多かった輸血や注射針の使いまわしによる感染は現在ではほとんどなく、多くは薬物使用における注射針の共有、性行為などが感染経路となります。
主な症状は全身の倦怠感や食欲不振、嘔吐などです。
特徴として、一過性感染と持続性感染があります。
一過性感染は慢性化することなく完治しますが、持続性感染はキャリア(保菌者)になってしまう人たちもいて、放置していると肝硬変や肝がんになってしまうリスクがあります。
[治療法]
有効なワクチンがありますが、キャリアの場合は進行状況により対症が異なるため、医師との相談が必要です。
[予防]
ワクチン接種で抗体を獲得できますが、以下のことに気を付けます。
・使用済みの歯ブラシやカミソリなど、他人の血液が付着している可能性がある物は使わない。
・他人の血液には直接触れないで、ゴム手袋など着用する。
・ピアスの穴開けや、注射針は未使用の物で行う。
・性行為はコンドームを使用する。

【C型肝炎・C型ウイルス感染(HCV)について】
C型肝炎は、血液を介しての感染が中心ですが、近年では輸血での感染はほぼなくなりました。
しかし、薬物注射の使いまわしや入れ墨やピアスの穴開け等の針の使いまわしによる感染が報告されるようになっています。
感染すると70%の人が持続感染となり、自覚症状が無いまま進行することが多く、気づいた時には慢性肝炎になっていることがあります。
およそ20年で30~40%の人が肝硬変となり、そのうち年率約7%の人が肝がんへ進行します。
日本では肝がんの70%がC型肝炎ウイルス感染者で、年間3万人の人が肝がんによって亡くなっています。
主な症状は倦怠感や疲れやすさ、食欲不振などです。
[治療]
現在、多くの抗ウイルス薬が開発されて、ウイルスを90%以上排除できるようになっています。
[予防]
B型肝炎と同様に他人の血液に触れないようにします。
ワクチンはありません。

【E型肝炎・E型ウイルス感染(HEV)について】
E型肝炎は、A型ウイルス同様で衛生環境の悪い地域で感染しやすい肝炎です。
感染した人の便中のウイルスに汚染された水、野菜、果物、肉類を生で食べることで感染します。
豚、鹿、猪、牛など多くの野生動物がE型ウイルスを保有していることがあるので、生で食べることで感染することがあります。
主な症状は発熱や嘔吐、食欲不振、黄疸です。
[治療法]
特別な治療はありません。症状に対処して安静にします。
[予防]
有効なワクチンは開発されていません。
衛生環境の悪い地域での生食を避け、加熱して食べるようにします。
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