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2024.06.04
相談員ブログ

腎不全について

【腎不全とは】
腎臓には5つの機能があります。
①不要な老廃物や余分な水分を尿として排泄する。
②水と電解質の量を一定に保つ。
③血圧を調整する。
④造血ホルモンを分泌して血液を増やす。
⑤ビタミンDを活性化して骨を丈夫にする。
腎不全とはこれらの腎臓の機能が低下した状態を言います。
腎不全には、腎臓の機能が急激に低下する「急性腎不全」と、徐々に腎機能が低下する「慢性腎不全(CKD)」があります。
急性腎不全は原因になっている病気に対して適切な治療をすることで改善が望めますが、慢性腎不全になると改善は困難となり、腎臓の働きを補う透析治療や腎臓移植などの治療が必要となります。

【急性腎不全の原因】
・腎前性
腎臓自体に異常はないものの、循環障害(大出血、心原性ショックなど)によって腎血流量が減少することによって生じます。

・腎性
急性腎炎、抗菌薬、農薬などの腎毒物質によって起こります。

・腎後性
尿管閉塞・圧迫(前立腺肥大症、泌尿器がん、結石)などの尿路の異常によって、尿が排泄できないために起こります。

【慢性腎不全の原因】
・糖尿病性腎症
慢性腎不全の約4割を占め、糖尿病の合併症として発症します。
血液内の糖分が増加することで、腎臓の中の毛細血管がダメージを受けます。

・慢性糸球体腎炎
腎臓の中で血液をろ過している糸球体が炎症を起こして、蛋白尿や血尿が1年以上続く状態です。

・腎硬化症
主に高血圧により腎臓の血管が動脈硬化を起こしている状態です。
血管が硬く、狭くなることで、腎臓の糸球体への血流が減少して、尿が作られにくくなります。

・多発性嚢胞腎
腎臓にできた複数の嚢胞が徐々に大きくなり、腎機能が悪化します。

【腎不全の診断基準と対処】
慢性腎不全は腎機能の状態によって以下の5つのステージに分類されます。

・ステージ1 正常
症状:自覚症状はほぼなありません。
対処:糖尿病や高血圧・肥満の方は生活改善に努め、進行を予防します。

・ステージ2 軽度の機能低下
症状:蛋白尿や血尿が出ることがあります。
対処:肥満気味の場合は食事制限やダイエット、喫煙者なら喫煙指導などの生活改善に取り組みます。

・ステージ3 中程度の機能低下
症状:腎臓の機能が半分近く低下した状態です。
   夜間にトイレに頻回に行ったり、血圧の上昇や貧血がみられます。
対処:生活指導の他、減塩やたんぱく質制限などの食事療法、血圧・血糖値・血中脂質を制御するための薬物治療を行います。

・ステージ4 高度の機能低下
症状:腎機能が30%未満まで低下し、回復が困難な状態です。
   疲れやすくなったり、むくみが出てきます。
対処:生活指導・食事療法・薬物療法だけでは改善できないため、人工透析や腎移植を検討します。

・ステージ5 末期腎不全
症状:腎臓がほとんど機能していない状態です。
   食欲低下、吐き気、息苦しくなったり、尿量が低下します。
対処:ほとんどの場合、人工透析または腎移植が必要になります。

【腎不全の治療】
急性腎不全は、原因に対する適切な治療により改善・回復が見込めます。
一方、慢性腎不全に対する治療は改善することが困難なため、現状維持することが目的となります。

・食事療法
十分なエネルギーの確保をしつつ、水分・塩分・タンパク質・カリウム・リンの制限が必要です。
腎不全の原因となった病気や合併症、年齢、腎臓の状態などによって異なるので、医師や管理栄養士から適切な指導を受けるようにします。

・薬物療法
腎不全を治す薬は存在しません。
高カリウム血症、高血圧、高リン血症、むくみ、貧血などの腎不全により引き起こされる合併症を予防するための薬など服用します。

・腎代替療法・腎移植
低下した腎機能をサポートする治療法として、人工透析を行います。
腎不全の唯一の根治療法として、腎移植があります。


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