2015.05.15
介護ニュース
サービス付き高齢者向け住宅、老人福祉法のガイドライン(指導指針)の適用対象へ

こうした状況を見据えて、平成23年10月に制定されたのが、「サービス付き高齢者向け住宅」です。これは介護や医療と連携し、心身に不安を抱える高齢者が安心して暮らせるためのサービスを提供する、バリアフリー構造の住宅で、「高齢者住まい法」の基準により登録されます。また、国土交通省と厚生労働省との共同所管となっていることからもわかるように、ただ単に高齢者向けの住宅という位置づけにとどまらず、全国に40万人以上いると言われている特別養護老人ホームの待機者の解消や、医療機関などからの退院者の在宅復帰先としての機能も期待されています。
「サービス付き高齢者向け住宅」は、有料老人ホームとは異なり、一般の賃貸住宅扱いとなるため、住宅部分については建物賃貸契約を結び、サービスについては別途、サービス利用契約を締結します。これによって入居者がサービスを自由に選択し、決定できるようになることが、「サービス付き高齢者向け住宅」の特徴であり、有料老人ホームとの最大の違いです。また、一般的な賃貸住宅よりも高齢者が借りやすいというメリットもあることから近年急増しており、平成14年度末時点で約17万戸が登録されています。
しかし、現在登録されている「サービス付き高齢者住宅」の約95%は有料老人ホームに該当する食事を提供する施設となっていますが、これまでは指導指針の適応対象外でした。そのため、一部の「サービス付き高齢者向け住宅」では、入居者に特定の事業者のサービスを使うよう強要しているケースもみられます。いわゆる“囲い込み”と呼ばれるもので、これではせっかく入居者が自由にサービスを選択・決定できるという「サービス付き高齢者向け住宅」のメリットが活かせません。さらに悪質なケースでは、介護報酬で利益を出すため、サービスを過剰に提供。介護保険財政に悪影響を与えているのではないかと問題視されることもあったといいます。
そこで厚生労働省では、7月から「サービス付き高齢者向け住宅」を老人福祉法の有料老人ホームのガイドライン(指導方針)の適応対象としました。これにより、自治体が悪質と疑われる「サービス付き高齢者向け住宅」に対し、立ち入り調査などの行政指導を行えるようになりました。
その一方、国土交通省は、「サービス付き高齢者向け住宅」の需要が増えている現状を受け、また入居者ニーズの多様化にも対応するため、生活に便利で医療機関との連携もしやすい市街地への建設を促すとともに、建設基準の緩和や空き家を活用した分散型の「サービス付き高齢者向け住宅」も認める方針だそうです。
今後10年で60万戸の整備目標が掲げられており、これからますます増えることは間違いないであろう「サービス付き高齢者向け住宅」。知らなかったという方は、これを機会に調べてみてはいかがでしょうか。