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2023.10.06
相談員ブログ

キレる高齢者がいるのは、なぜ?

【キレる高齢者の増加】
高齢者による暴力や暴行事件が年々報道を騒がしていて、いわゆる「キレる老人」とか「暴走老人」とか呼ばれています。
高齢者になると、角が取れて人格円満になるかというと、その逆になるとは、これ如何に?
ですが、その背景にある様々な要因を踏まえたうえで、理解を深めていった方が良いようです。

【キレやすくなる要因】
・身体の機能低下
怒りの感情は脳の大脳辺緑系でつくられますが、怒りをセーブする働きは前頭葉で行われます。
その前頭葉は、加齢とともに脳の機能の中でも先ず衰えを見せ始めるのです。
前頭葉の委縮は感情を抑制する機能の低下を意味しますが、「年を取ると涙もろくなる」というのも、このことを起因としている場合があります。
怒りを抑えられない高齢者がいるのは、その人の性格だけではなく、前頭葉の機能低下を疑ってみる必要があります。
また、老眼で字が見えにくくなったり、耳が遠くなったり、体が以前のように動かなかったりして、心に余裕を無くしてしまう場合があります。
体調不良などでストレスを抱えていたりすると、些細なことでも怒りとなってこみあげてくる人もいます。

・認知症による易怒性
「最近性格が変わった」「妙に怒りっぽくなった」などと周囲の人が感じるようになったら、認知症の可能性があることも考えてみましょう。
初期段階の認知症では、本人としても、失敗・わからないこと・覚えていないことなどが増えてきた自覚があります。それを隠すために、自尊心を守ろうと怒りやすくなるのです。
また、身内がいない環境でも怒るようであれば認知症を疑う必要があります。感情を制御する機能が低下しているので、人目も気にせず怒ってしまうからです。
初期の性格変化とともに、暴言・暴力などの攻撃的行為が強くに現れ出す場合は、前頭側頭型認知症の可能性もあります。

・社会的な疎外感
「十年ひと昔」と言われていましたが、急速なデジタル技術の発展や社会構造の変化の速度は目覚ましく、今では「五年ひと昔」あるいは「三年ひと昔」のようなスピードです。
デジタルネイティヴと言われる人たちと、中高年のデジタル格差も激しいですが、高齢者はもうとてもついていけない状態です。
人間は見知らぬ場所や人たちがいる環境に置かれると、強いストレスを感じるものです。
新しいモノが次々普及する中で、使いこなせずにその恩恵にあやかることがないと、イライラした気持ちが募ります。
そして、モノだけではなく、新しい社会の生活様式や若い世代との価値観の違いから、鬱積した思いは膨張していきます。
長い間、培ってきた考えや生き方が現代社会で通用せず、歯痒いや苛立ちが増長された末、暴力に訴えることになるようです。

・満たされない承認欲求
戦後焼け野原の日本を立て直し、先進国入りを果たし、経済大国にまで押し上げてきた大きな功績がある世代です。
その原動力となったのは身を粉にして働いてきた自分たちがいる御蔭なのに、そのことが社会的に充分評価されていない。また、家庭的にも誰の御蔭で今の生活が送れているのかわかっていないという鬱屈した思いを抱く人もいます。
バブルも味わったり成功体験をもちながらも、邪魔者扱いされたりすると、プライドは痛く傷つきます。
「もっと認められて当然だ」という承認欲求が満たされる機会が無くなっていることも怒りを蓄積することになっているようです。

・孤独がもたらす制御機能不全
以前の日本社会は親子二世帯あるいは三世帯で暮らすのがごく一般的でした。
おじいさん・おばあさんにポジションや役割があり、家庭の中でも社会的立ち振る舞いをすることが当たり前でした。
ところが、核家族化が浸透し、高齢者は自分だけの生活と時間を過ごしていくうちに、人とコミュニケーションを取る機会をどんどん喪失してしまいました。
そして、日常生活の中で、我慢すること、遠慮すること、思いやること、などをする必要を喪失していったのです。
脳は社会的生活やコミュニケーションという刺激が減少すると、その機能をコントロールする力が無くなっていきます。

【キレる高齢者にならないために】
暴力事件になってしまうに至らなくとも、怒りっぽくて敬遠される高齢者にならないように、その家族や取り巻く人たちも下記のことなどを日々心掛けていきましょう。
・敬老の精神を持つ。
日本人がずっと大事にしてきたことの一つに「敬老」の精神があります。
先ずはその方が歩んできた人生に敬意を、果たしてきた役割に感謝の念を持ち、その方自身を敬いましょう。
・家族と一緒にいる時間を増やす。
独居老人の増加が社会問題視されていますが、安否の確認にとどまらず、コミュニケーションを増やしましょう。
そのことで、心身や脳の刺激になり、孤独感の軽減に繋がります。
・外出して人との交流を増やす。
一日中家にいて、テレビしか見ていないと、脳の機能低下に繋がります。
何かのサークルやコミュニティに参加したり、デイサービスを利用するなどして、社会とのかかわりを保つようにしましょう。











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