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2024.04.15
相談員ブログ

記憶障害について

【記憶障害とは】
記憶障害は、年齢の増加や疾患によって引き起こされる現象であり、加齢に伴う物忘れと、認知症による記憶障害は別物です。
記憶は3つの段階で形成されます。
①記銘:新しい情報を受け入れる
②保持:情報を記憶として保持する
③想起:記憶された情報を思い出す

加齢による物忘れは、③想起の能力が低下することによって生じます。つまり、情報は保持されているが、思い出せない状態です。
一方、認知症による記憶障害は、①記銘の能力が低下している状態です。
そのため、情報を受け入れること自体が困難であり、情報が記憶に定着しないのです。
例えば、加齢による物忘れでは、昨日食べたメニューを思い出せないのに対して、認知症による記憶障害では、昨日食べたこと自体が記憶にないのです。

【記憶障害の原因】
記憶障害は加齢以外にもさまざまな原因で引き起こされます。

・認知症
認知症で6~7割を占めるアルツハイマー型認知症は、脳の萎縮により記憶の障害が顕著に現れます。
最近のことが思い出せなかったり、新しいことを覚えられなかったりします。
レビー小体型認知症も、脳神経細胞が障害を受けて、記憶障害が生じます。

・うつ病
うつ病によって考えが集中できなくなり、記憶能力や判断能力が低下します。
この症状が認知症と似ているため、仮性認知症と呼ばれたりします。

・高次脳機能障害
脳血管障害や、脳外傷、脳が損傷することで高次脳機能障害が生じることがあります。
高次脳機能障害は、記憶障害や、失語、失認、失行障害、遂行機能障害、社会的行動障害なども見られます。

・心的外傷ストレス障害(PTSD)
生命が脅かされるほどの出来事や重大な怪我を経験した際に起ることがあり、記憶障害が生じることがあります。

【認知症における記憶障害の種類】
認知症の記憶障害は以下のような種類があり、現れる症状も異なっています。

・短期(即時)記憶障害
新しい記憶を受け入れる機能が低下して、数秒から数時間前に行っていたことが思い出せません。そのため、日常生活に大きく支障が出ます。

・長期(遠隔)記憶障害
数日から数週間、もしくは数十年の記憶が保持できず、昔のことを思い出せなかったり、時系列が混乱していたりします。
周囲の人と話していても、つじつまが合わなくなってしまいます。

・エピソード記憶の障害
場所や日時を含む具体的な出来事(エピソード)を思い出せません。
自分の経験や体験した出来事そのものを記憶していません。
アルツハイマー型認知症はこの記憶障害が目立ちます。

・意味記憶の障害
蓄えた知識の記憶が欠落し、物や人の名前を思い出せなくなります。
そのため、「あれ」や「これ」を多用するようになり、意思疎通が困難になってきます。
前頭側頭型認知症はこの記憶障害が目立ちます。

・手続き記憶の障害
身体で覚えた記憶の障害です。学習や練習によって身に付けた技術や、繰り返し行ってきた動作に障害が生じます。
この状態になると、在宅での日常生活が困難になります。

一般的に認知症の症状の進行につれて、記憶障害も進行します。
短期記憶の低下から始まり、長期記憶、エピソード記憶と障害が広がっていきます。
比較的に意味記憶や手続き記憶は最後まで残りやすい傾向があります。

【認知症における記憶障害への対策】
・本人の状況を受け入れる
忘れることで周囲の人から責められても思い出すことはできず、不安や混乱が募るばかりです。
周囲の人が本人の状態を理解し受け入れることが重要です。本人に対して安心感を与えることが大切です。

・記憶を留める工夫をする
物の置き場所を決めてラベル付けや、メモ、ホワイトボード、カレンダーなどを活用して視覚的に記憶を補助します。
また、時計や携帯電話のアラームを用いて、聴覚的にも気付きやすくなるように工夫してみましょう。

・環境を整える
毎日のスケジュールはシンプルでパターン化します。
通院日などは日時を決め、ルーティンにするようにします。
お部屋は整理して、よく使うものは見つけやすくわかりやすい配置にします。

・反復する
新しいことを覚える時は、同じことを繰り返すことで、記憶の保持につなげます。
覚えることはなるべく簡潔にして、幾度も繰り返して記憶の定着を図ります。

これらの対応策を組み合わせて、認知症における記憶障害に対処し、本人の生活の質を向上させることが重要です。



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