2024.07.17
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ユマニチュードについて
【ユマニチュードとは】ユマニチュードはフランスの体育教師だったイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が40年以上に及ぶ病院・施設・家庭での経験から生み出したケアの技法です。
認知症の方の日常行動の全てを介護者が支援している現場を見て、人間らしさが損なわれることを懸念して考え出されたものです。
ユマニチュードは「人間らしさを取り戻す」ことを意味しますが、「あなたのことを大切に想っています」と相手に伝える技術と、心掛けておくべき考え方から成り立っています。
【ユマニチュードの目的・目標】
ユマニチュードは単に機能の回復や維持に努めるのではなく、対象者の人間らしさを大切にして、人としての尊厳を保つことや、良好な関係を築くことを重視します。
そのうえで、ケアを受ける人の状態に合わせて、3つの段階での目標を示しています。
①心身の回復を目指す
低下した身体・認知機能の回復を目標にしますが、対象者の希望に沿ってケアすることを重視します。
ケアする人がケアを受ける側の残存機能を奪わないことを目標としていますので、できることまでサポートしすぎないように注意します。
②心身の機能を維持する
身体・認知機能の回復が困難な場合は、現状を維持して、今ある機能を可能な限り低下させないことを目標にケアを行います。
具体的には、車いすでの時間を減らして歩行を促したり、自分の手で食事してもらうことなどです。
③最後まで寄り添う
身体・認知機能の回復や維持が困難な場合であっても、本人の尊厳を大切にして、最後までその人らしくあることを目指します。
なるべく本人の自己決定の機会を提供して、寄り添いながらケアを行います。
【ユマニチュードの4つの柱】
「あなたは大切な存在である」と伝えるために用いられる4つの技術を、ユマニチュードの「4つの柱」と呼びます。
言葉によるメッセージと、以下の4つの技術でコミュニケーションを図ります。
①見る
ケアされる人を正面に捉え、目線の高さを相手に合わせて近くから優しく見るようにします。
目線の位置によっては相手に恐怖感や不平等感を与えてしまい、尊厳を失うことになってしまうので注意します。
②話す
ポジティブな言葉を使い、優しいトーンで穏やかに話しかけます。
相手から返答がない場合は、これから行うケアの動作を一言ずつ実況的に伝える「オートフィードバック」という技術を用います。
③触れる
適度なボディタッチは親しみをあらわしたり、気持ちをほぐすことになります。
ケアする時に本人の肩や背中などを、そっと包むような感じで触れます。
力を入れたり、引っ張ったり、掴んだりせず、子どもを持ち上げる時のように優しく触れるようにします。
④立つ
立つ行為は認知機能や健康状態の改善にもなりますし、人間らしさの表出にもつながります。
ケアの様々な場面で意識して立ってもらうようにしましょう。
1日合計20分立つ時間を確保することで、寝たきり予防にも効果的とされています。
【ユマニチュードの実践】
「4つの柱」を意識しつつケアを実施しますが、来訪から立ち去るまでを5つのステップに分けて行います。
①出会いの準備
「これからケアを行います」と知らせるステップです。
自分の来訪を伝え、存在に気付いてもらい、認識してもらいます。
部屋の扉をノックしたり、声がけを行います。
②ケアの準備
すぐにケアを開始するのではなく、「あなたに会いに来ました」というメッセージを伝えます。
まずは挨拶や日常会話から始め、自然とケアに誘うように声掛けをします。
3分話してもケアを拒否される場合は、一旦ケアすることを中止します。
③知覚の連結
ケアの合意が得られたら、実際にケアを実施していくステップです。
「見る」「話す」「触れる」ことを用い、「あなたのことを大切に想っている」というメッセージと行為に調和を持たせます。
「笑顔なのに、きつい口調」「優しい声なのに、強くつかむ」など、五感に対して矛盾したメッセージを送らないように心がけます。
④感情の固定
ケアを受けた人が良い感情記憶を残すためのステップです。
認知症は短期記憶が障害されていることは多いですが、感情に伴う記憶は残りやすいとされています。
「この人は嫌なことをしない」「この人と良い時間を過ごせる」という感情記憶を残して、次回以降のケアにつなげます。
⑤再開の約束
お別れの前には必ず再会の約束をします。
いつ来るのか具体的に話すようにします。
認知機能が衰えていたとしても、「また来ること」を明確に伝えて、記憶に留めてもらうようにします。
次の訪問予定をメモやカレンダーに書き入れて、視界に入るところに置いておくようにします。
約束することで、次回のケアを行いやすくするのです。