2024.08.02
相談員ブログ
ハイフローセラピーについて
【ハイフローセラピーとは】コロナ禍において広がりを見せた新しい酸素療法に、「ハイフローセラピー(高流量鼻カニューラ酸素療法)」というものがあります。
近年、この療法の使用が急速に拡大したきっかけは、Fisher & Paykel Healthcare社のネーザルハイフロー(NHF)によることが大きいのです。
そのため、この療法を商品名である「ネーザルハイフロー」と呼ばれることが一般化していますが、「ハイフローセラピー」が正式な名称となります。
ハイフローセラピーは、高流量の酸素ガスを加湿加温して、鼻腔に装着したカニューラを通して体内に送り込むことができます。
体内の酸素濃度が低下して自力で呼吸をするのが困難な状態の人に、呼吸をサポートする目的で使用されます。
勢いよく酸素ガスを送り込むことで肺が膨らみやすくなったり、湿度があり温かい酸素ガスによって痰を出しやすくし、酸素を取り込みにくくなった肺を補助することができます。
鼻カニューラを使用するので、気管に直接管を入れて人工呼吸器につなぐ治療よりも身体への負担が少なくて済みますが、重度な患者にとっては十分な治療とはなりません。
それゆえに、人工呼吸器を外した後の中等程度呼吸不全の患者が対象となります。
つまり、ハイフローセラピーは人工呼吸器と酸素療法の中間にあたる治療法になるのです。
【機器の仕組みについて】
酸素と室内空気を酸素ブレンダーで混合させ、酸素濃度(21~100%)を患者の必要に応じて調節し、酸素ガスをつくりだします。
機器からは酸素ガスが高流量(10~60ℓ/分)で体内へと送られますが、加湿加温器がその酸素ガスの状態を調整します。
これにより、気道の乾燥を防ぎ、線毛運動を正常に保ち、分泌物管理にも効果をもたらすため、快適な呼吸の管理が可能となります。
ハイフローセラピーでは専用の鼻カニューラを使用し、両側の鼻腔から酸素ガスを供給します。
効果を高めるためにその先端は細い形状になっており、ジェット流を作りやすくして肺と気道内の空気を洗い出します。
そして、肺を持続的に膨らませる効果があり、二酸化炭素の再呼吸を防いで、換気効率が向上します。
【メリット】
ハイフローセラピーでは安定した酸素濃度の酸素ガスを鼻腔へと送り込むため、酸素を取り入れやすく、呼吸がしやすくなります。
加湿加温されることによって高流量であるにも関わらず、鼻が痛くなることはありません。
鼻腔に専用のカニューラをつけるだけなので、従来のマスクを使用する呼吸療法と比べて、食事や飲食、日常会話が可能となり、マスクを着ける閉塞感から解放される利点もあります。
メリットをまとめると、以下のようなことが挙げられます。
・酸素吸入の改善
・CO₂再呼吸の防止
・呼吸仕事量の減少
・排痰の促進
・患者の生活の質の向上