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2024.09.10
相談員ブログ

胃ろうについて

【胃ろうとは】
胃ろうとは腹部にカテーテルを通すためにろう孔を開ける手術を行い、そのカテーテルを通して胃に栄養を注入する医療行為です。
胃ろうのために腹部にろう孔を開ける手術は「経皮内視鏡的胃瘻造設術」と呼ばれ、「PEG」ともいわれます。
胃ろうの対象者は、身体機能の低下や重度の認知症などにより、口から食事をすることが困難な方となっています。
食事をうまく飲み込めずむせてしまう人は誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあるので、このようなリスクを回避するために胃ろうを造設することがあります。
日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、胃ろうを造設する対象者は、
①必要な栄養を自発的に摂取できない
②正常な消化管機能を有している
③4週間以上の生命予後が見込まれる成人および小児
に実施することができます。
患者の状態によっては、栄養のためだけではなく、飲みにくい薬を安定して服用するためや、沢山の水分を摂取する目的のために胃ろうを用いることもあります。
最近の調査では胃ろうは障害が軽度なうちに造設した方が、食事摂取の回復や日常生活能力の回復に有効であることがわかってきました。

【胃ろうのメリット】
・手術は比較的容易
内視鏡を使用して手術は行われますが、15~30分で完了します。
入院期間は術後の経過観察によりますが、一般的には1~2週間程度の短期間ですみます。

・通常の入浴が可能
入浴時、カテーテルを保護することなく、そのままお風呂に入れます。
一般的に水圧よりも腹圧の方が圧が高いため、ろう孔からお湯が入ってくることはありません。

・外出を楽しめる
服を着用すれば、胃ろうであることは見た目にはわかりません。
そして、体調次第では散歩や軽い運動なども可能です。

・食事を楽しめる
胃ろうから入れる栄養は医師から処方されたものが基本ではありますが、健康状態や医師の判断次第では、自宅で調理したものを注入することも可能です。
お好きな果物をジュースにしたり、ワインやビールを嗜む人もいます。

・経口摂取への取り組みがしやすい
胃ろうにしたらずっと口から食べられなくなるわけではありません。
もちろん、その方の嚥下状態にもよるのですが、口からの食事と併用できるようになり、リハビリが進んで胃ろうを外せるようになる人も中にはいます。

・胃ろうは元に戻せる
胃ろうが必要でなくなった場合は、カテーテルを抜去すると自然にろう孔が塞がります。
手術しなくても数時間で胃の粘膜は修復します。

・免疫力の維持
免疫細胞の7割は腸に生息していますが、胃ろうでは点滴と違い、胃や腸を使うので、免疫が刺激され働きを維持します。

【胃ろうのデメリット】
・手術が必要
手術は内視鏡により短時間で済むのですが、身体に穴を開けることに対して抵抗感を覚える人は少なくありません。
一度手術を受けても、カテーテルが抜けた場合は再び手術が必要になることがあります。

・メンテナンスが必要
胃ろうは定期的なメンテナンスが必要で、カテーテルの交換に毎回費用がかかります。
交換の頻度は種類によって異なりますが、最長でも半年に1回程度の頻度でカテーテルを交換する必要があります。

・口腔ケアが必要
食べ物を口から摂取することが無くなると、唾液の分泌量も減り、自浄作用が低下するので、口腔ケアが必要です。
口腔内に汚れが付きやすくなり、細菌が増加して口臭の原因となるほか、細菌性肺炎のリスクも高まります。

【経鼻経管栄養と胃ろうの違い】
①不快感の有無
鼻からチューブを入れる経鼻経管栄養は、チューブが常時のどに通っているために、利用者には強い不快感があります。
そのため抜去してしまう人もいるので、防止のために病院では拘束されてしまう場合もあります。
それに対して胃ろうは不快感はほとんどありません。

②見た目
経鼻経管栄養は常時チューブが鼻から出ている状態なので、見た目を気にされる方もいますが、胃ろうの場合、着衣していれば普通と変わりません。

③食事の練習
経鼻経管栄養はチューブが鼻からのどを通って胃に入っているため、食べ物を食べる練習がしづらいです。
それに対して、胃ろうは嚥下状態にもよりますが、のどにチューブが通っていないため、口から食べる練習が容易にできます。
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