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2024.09.26
相談員ブログ

見当識障害について

【見当識障害とは】
アルツハイマー型認知症の症状は、「中核症状(認知機能の低下)」と「周辺症状・BPSD(行動・心理症状)」に大別されます。
見当識障害は中核症状に含まれていますが、見当識障害の中でも特に時間の認知障害は、記憶障害と共に早い段階で生じる場合が多いのです。
見当識障害では症状の進行とともに「時間→場所→人物」の順番に認識や理解する能力が低下していきます。
進行の初期には時間や季節がわからなくなり、中期では道迷いが出現して、後期では家族のことも認識できなくなっていきます。
混乱状態が継続してしまうと、「周辺症状・BPSD」が生じてきます。
例えば、徘徊、昼夜逆転、攻撃や興奮などが現れてくる場合があります。
見当識障害の改善は難しいと言われていますが、周囲の配慮や対応の仕方によっては進行を遅らせたり穏やかに過ごすことも可能です。

【見当識障害の症状】
[時間の見当識障害] 
時間を間違えるようになり、日にちも理解できなくなっていきます。
更に症状が進むと、昼と夜の区別や季節の認識が難しくなっていきます。
[具体例]
・約束の時間に間に合わなくなる。
・外出する時間を確認しても、準備できなくなる。
・夜中に家を出て行こうとする。
・季節に合った適切な服装ができなくなる。
・自分自身の年齢がわからなくなる。

[場所の見当識障害] 
自分がどこにいるのかわからなくなり、外出した際に帰宅できなくなったりします。
室内にいてもトイレの場所や、自分の部屋を間違えるようになります。
場所の見当識障害には「道順障害」と「街並失認」が起こります。
道順障害とは、目的地が理解できても、どう進んで行けばよいのかがわからなくなることです。 
街並失認とは、居る場所が認識できなくなり、慣れた所であっても迷ってしまうことです。
[具体例]
・方向が分からなくなり、目的地に行けなくなる。
・行き慣れた道でも帰宅できなくなる。
・距離感が認識できず、迷ってしまう。
・自宅内で自分がどこにいるか認識できなくなる。

[人の見当識障害] 
人の認識ができず名前を間違えるようになります。
症状が進行すると、知り合いや家族も認知できなくなります。
[具体例]
・会っている人と自分の関係性がわからなくなる。
・家族のことをよそ者と思ってしまう。
・亡くなっている親や伴侶を呼ぶ。

【見当識障害の対応方法】
見当識障害のある認知症の方は、時間・場所・人に関わる不安や混乱を抱えています。
そのような方には以下のような点を心掛けて接するようにしましょう。

・さりげなく場所や時間の情報を伝える
会話の中で、今いる場所や時間、季節について情報を伝えます。
そうすることで現状把握につながり、自分の今いる場所や時間を認識してもらうようにします。

・手掛かりになるものを設置する
今いる場所や現在の季節・時間を確認できるものを見える位置に設置するようにしましょう。
カレンダーや時計を多めに設置したり、日時を確認できるラジオやニュースを視聴したり、季節感のある飾りつけをするのも効果的です。

・本人を責めない
約束の時間を守れない、道に迷うなどうまく行動できない場合も、本人の話しを傾聴して失敗を受容し、自尊心を傷つけないようにします。
相手に共感できるような声がけを意識しましょう。

・自宅内にわかりやすい案内をつくる
寝室やリビングからトイレへ向かう導線や、トイレと認識しやすい目印を付けておくようにしましょう。
夜間でも見える工夫をしておくことも必要です。

・生活リズムを整える
毎日のスケジュールを一定にすることで体内時計の調整になります。
また、行動をルーティン化することで、時間の見当識障害の改善につなげます。

【せん妄との違い】
せん妄の症状は認知症とよく似ていて、見当識障害も生じます。
しかしながら、せん妄との明確な違いは「発症の時期や原因が明確かどうか」になります。
認知症の見当識障害は、「徐々に正常でなくなってきた」という周りの証言が多くあるのに対して、せん妄は手術や薬剤療法を行った後や、感染症などにかかってからなど、発症時期や原因が明らかです。
また、せん妄は一時的な急性の意識障害で、早急に医学的な処置を行えば治癒することが可能です。
それに対して、認知症の見当識障害はその症状は少しづつ進行して回復は困難で、意識ははっきりしています。
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