2024.10.23
相談員ブログ
認知症疾患センターについて
【認知症疾患医療センターとは】認知症疾患医療センターは、認知症に関する詳しい診断、周辺症状や身体の合併症への対応、専門医療相談などを行う医療機関で、全国に477か所(令和2年2月時点)設置されています。
都道府県知事または政令指定都市市長が指定する病院に設置されており、物忘れ相談から、認知症の診断や治療、介護保険の相談まで、ワンストップで認知症に関するサポートを行います。
認知症疾患医療センターは、地域のかかりつけ医、介護施設、地域包括支援センターなどと連携して、認知症の方とその家族を支援します。
認知症疾患医療センターとして認定されるためには、検査機器や入院設備などの条件を満たす必要があります。
【認知症疾患医療センターの類型】
認知症疾患医療センターは、厚生労働省の基準に基づいて、以下の3タイプに分けられます。
①基幹型
主に大規模な総合病院に設置されます。
基本的な活動圏域は都道府県圏域です。
検査機器(CT、MRI、SPECT)や入院設備が整っており、認知症の周辺症状や他の疾病との合併症にも対応できる施設です。
空床の確保が義務付けられており、入院の必要がある認知症の方が訪れた際に、必ず受け入れられるようになっています。
人員は以下のように配置されています。
・専門医または鑑別診断など専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師(1名以上)
・専門の臨床心理技術者(1名)
・専任の精神保健福祉士または保健師など(2名以上)
②地域型
3つのタイプの中で最も多く、精神病院などに設置されます。
基本的な活動圏域は二次医療圏域(複数の市町村で構成され、救急医療を含む一般的な入院治療が完結するように設定された区域)になります。
CT、MRI、SPECTによる検査は可能ですが、場合によっては他の医療機関との連携で対応することができます。
入院は、必要に応じて他の医療機関と連携しながら対応します。
人員は基幹型と同様で、以下のように配置されています。
・専門医または鑑別診断など専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師(1名以上)
・専門の臨床心理技術者(1名)
・専任の精神保健福祉士または保健師など(2名以上)
③連携型(診療型)
地域の診療所やクリニックに設置されます。
基本的な活動圏域は二次医療圏域となります。
検査や入院は、認知症急性期への対応が可能な医療機関と連携を取りながら対応します。
人員は以下のように配置されています。
・専門医または鑑別診断など専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師(1名以上)
・看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者など(1名以上)
【認知症疾患医療センターの役割】
①専門医療相談の実施
認知症に関する専門知識を有する相談員(精神保健福祉士など)が、本人、家族、介護事業所などの関係機関から相談を電話や面接で対応します。
状況に応じて適切な医療機関などの紹介を行います。
②鑑別診断と初期対応
専門医による診察や検査によって認知症の診断を行います。
診断の結果を踏まえて本人や家族と相談のうえ、治療方針を決定します。
医療機関の紹介や、その他関係機関と連携して、介護や生活支援までの体制を整えます。
③周辺症状・合併症への対応
周辺症状(BPSD)や身体の合併症がみられる場合は、治療や入院の対応をします。
また、対応可能な医療機関との連携や、地域での受け入れ体制の構築も行います。
④地域連携を促進
医療・介護・生活支援の体制を構築するために、自治体、医療機関、認知症サポート医、地域包括支援センター、福祉事業所、保健所などと連携し、ネットワークづくりを進めます。
介護や生活支援のサービスを必要とする家族には関係事業所を紹介します。
⑤連携協議会・研修会の開催
地域での連携強化のために「認知症疾患医療・介護連携協議会」を組織化し運営するほか、関連機関や医療従事者向けの研修も行います。
⑥専門医療、地域連携を支える人材の育成
医療・介護従事者等の認知症対応力の向上を図るために研修会や事例発表会を行ったり、市町村・医師会等が実施する研修に協力します。