2024.11.25
相談員ブログ
筋ジストロフィーについて
【筋ジストロフィーとは】筋ジストロフィーとは、遺伝子の変異によって体の筋肉が徐々に壊れ、筋力が衰えていく病気の総称です。
遺伝子はタンパク質をつくる設計図と考えられ、遺伝子に異常が生じると、筋肉に必要なタンパク質が生成されなくなり、筋肉が徐々に弱っていきます。
筋肉が破壊されやすく再生が間に合わなくなるため、筋委縮や筋肉の脂肪化や線維化が生じます。
筋力が弱まることによって、呼吸機能、心機能、嚥下機能なども低下していきます。
生命に関わる臓器の機能が低下することによって、生命維持が徐々に困難になってしまいます。
平成27年7月から、指定難病に認められ、日本での患者数は約25,400人(10万人に17~20人程度)と推計されています。
【筋ジストロフィーの種類・分類】
筋ジストロフィーは以下のような病型があり、症状や経過が異なります。
[デュシェンヌ型筋ジストロフィー]
・3~5歳の男児に発症し、小児期で最も多くみられる
・歩行障害が発症し、身体の中心に近い筋肉の低下、筋委縮が特徴
・進行は早く10歳前後で歩行不能になり、延命のための機器の使用が無ければ20歳前後に死亡する確率は高くなる
[ベッカー型筋ジストロフィー]
・小児から成人期の男性に発症するとされる
・軽症で進行が遅い傾向にあるため気付きにくく、心臓への負荷が増し、心筋障害が問題となることも多い
[肢帯型筋ジストロフィー]
・小児から成人期の男女に発症
・症状も進行もさまざま
[顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー]
・顔面と上肢帯で発症し、関節拘縮や変形は少ない
・進行が遅いのが特徴
[先天性(福山型)筋ジストロフィー]
・出生早期から手足がだらりとした状態や運動発達遅延が見られる
・日本人に多くみられる
[筋強直性筋ジストロフィー]
・20~30歳代で発症する
・把握性ミオトニア(手を開きにくくなる症状)、クローバー状舌、斧状顔貌(顔面筋、側頭筋、咬筋の萎縮)、前頭部禿頭などが特徴
【筋ジストロフィーの症状】
筋ジストロフィーの主な症状は、筋肉減少による運動機能の低下ですが、以下のような症状が現れることがあります。
・咀嚼、嚥下、構音(言葉の発声)機能の低下
・眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)、閉眼困難(目が閉じにくい)、眼球運動の障害
・表情の乏しさ
・拘縮や変形
・骨の代謝異常
・内分泌代謝異常
・呼吸不全、咳がうまくできず、痰を出し切れない
・誤嚥、栄養障害
・心筋障害:心不全、不整脈
・消化管障害:胃腸の機能不全、便秘、イレウス
・中枢神経障害:知的障害、発達障害、けいれん
・白内障、網膜症
・難聴
【筋ジストロフィーと筋委縮性側索硬化症(ALS)との違い】
[病気の特徴]
筋ジストロフィーは遺伝子の異常により、筋肉が正常に形成されず、筋力低下を起こす病気です。
それに対して、ALSは筋肉自体に問題はなく、筋肉に命令を伝える運動神経に異常が生じる病気です。
このため、脳から身体に運動命令が届かず、手足がうまく動かせない状態になります。
[発症年齢とその後の経過]
筋ジストロフィーでは発症年齢が低いほど、重症な経過をたどることが多いです。
幼児期に発症すると、10歳ころには歩行困難になっている場合もあります。
一方、成人してから発症した場合は、徐々に筋力低下が進むことが多いです。
ALSの好発年齢は50~70代ですが、2~5年ほどの経過で人工呼吸器を必要とする状態に進行することがあります。
[症状の違い]
発症する際の症状として、筋ジストロフィーは身体の中心に近い筋力の低下を生じやすく、立ち上がりや階段昇降、歩行時の筋力低下が最初の症状として現れることがあります。
一方、ALSは手足の末端から症状が出ることが多く、左右で動作の差が生じることも特徴です。
また、話しづらさや、飲み込み時の詰まりなど、喉の症状から病気が発見されることもあります。