2025.02.19
相談員ブログ
前立腺肥大症について
【前立腺肥大症とは】前立腺は男性にだけある臓器で、膀胱の出口側にあり尿道を取り囲むように存在しています。
栗の実に似た形と大きさで、生殖機能に関する役割を担っています。
前立腺は30歳代後半から肥大しはじめ、特に50歳代に顕著になり、70歳を超えると10人に7人の人が前立腺肥大症になると考えられています。
前立腺が肥大することで膀胱や尿道を圧迫して、「排尿障害」、「畜尿障害」、「排尿後障害(残尿感や尿もれ)」を引き起こします。
症状が悪化すると尿が出なくなる尿閉を起こし、危険な状態になります。
また残尿が続くと尿路感染症や膀胱結石、腎臓病などのリスクが上昇します。
前立腺肥大症の原因は未だ明確に解明されてはいませんが、男性ホルモンの分泌バランスが加齢とともに変化することで、前立腺に肥大を引き起こす原因と考えられています。
その他にもメタポリックシンドロームの要因である肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病全般との関係も指摘されています。
【前立腺肥大症の症状】
前立腺肥大症の症状は、第1期から第3期に分けられます。
[第1期]膀胱刺激期
前立腺肥大の初期症状で、肥大した前立腺が膀胱や尿道を刺激することで、以下のような症状が見られまます。
・頻尿になった
・尿の勢いが弱くなった
・排尿してもすぐ尿意をもよおす
[第2期]残尿発生期
肥大した前立腺により尿道が圧迫され狭くなります。
症状が進行すると尿を全て出し切ることが難しくなり、膀胱に残尿がたまる状態になります。
・排尿する際に力むようになった
・トイレに行ってから排尿するまで時間がかかる
・尿の切れが悪くなった
・排尿の途中で尿が途切れてしまう
[第3期]慢性閉塞期
さらに症状が進行すると、尿が出なくなります。
・排尿の回数が非常に多くなった
・1回の排尿時間が非常に長く(数分かかる)なる
【前立腺肥大症の治療】
[薬物療法]
使用する薬は、症状を解消する薬と、前立腺を小さくする薬の2種類に分けられ、それぞれの特徴の異なる薬が複数あります。
また、炎症を抑制して症状改善につなげる漢方薬が使われる場合もあります。
・α1受容体遮断薬
「α1受容体」は前立腺や尿道の筋肉に存在し、蓄尿をコントロールする器官です。
緊張している前立腺や尿道の筋肉を緩和させる働きがあり、排尿障害の症状を改善します。
前立腺は縮小しませんが、軽い症状なら早期改善が望めます。
・抗男性ホルモン剤
男性ホルモンの働きを抑制する薬です。
尿道を囲む前立腺を縮小させることで、圧迫が解消され排尿しやすくなります。
効果が現れるまで、ある程度の時間がかかることがあります。
・漢方薬、植物エキス製剤、アミノ酸製剤
前立腺の炎症を抑制する効果があります。
炎症が軽減されることで前立腺の腫れが解消し、症状の緩和につながります。
[手術療法]
薬物療法は、症状が軽いほど効果を発揮しますが、悪化してしまうと外科的手術が必要になる場合も少なくありません。
・内視鏡手術
尿道から内視鏡を挿入し、電気メスやレーザーを使用して肥大した前立腺の組織を焼き壊死させ、小さくする方法です。
・高温度療法
尿道や直腸からカテーテルを入れ、マイクロ波やラジオ波、超音波を使用して前立腺を加熱し壊死させることで症状を改善する方法です。
・尿道ステント
形状記憶合金などで作られた管(ステント)を尿道に挿入し、尿道を広げて排尿をスムーズにする方法です。
・開腹手術
下腹部を開腹し前立腺の肥大した部分を切除して、前立腺を小さくする方法です。
特に前立腺の肥大が重度な場合に有効とされています。
【前立腺肥大症と前立腺がんについて】
前立腺がんは前立腺の外側にある外腺から発生します。
かなり進行しない限り尿道を圧迫することはありません。
そのため排尿障害は生じにくいのですが、放置すると前立腺内にとどまらず転移する可能性もあります。
前立腺がんは近年増加していて、統計学的予測によると、2025年には男性のがん罹患率で第1位になるといわれています。
一方、前立腺肥大症は、尿道に接している内腺が肥大することで尿道を圧迫し、尿が出にくい症状が顕著に現れます。
前立腺がんと大きく異なる点は、前立腺肥大症が前立腺内に留まり、転移しないことです。