2025.03.12
相談員ブログ
訪問マッサージについて
【訪問マッサージとは】病気や怪我、加齢などで何らかの障害を抱えてしまい外出ができず、病院や治療院などに行けない人を対象に、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」が利用者の自宅や介護施設に訪問し、医療上必要とされるマッサージなどを行います。
あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「指圧」「マッサージ」「変形徒手矯正術(へんけいとしゅきょうせいじゅつ)」を組み合わせた施術を行い、「関節可動域の拡大」「身体機能の維持向上」「疼痛緩和」「血流改善」などの症状緩和を図ります。
基本的には器具を使わず、自然治癒力や免疫力を高めることを目的とした施術を行います。
要介護認定の有無は問いませんが、介護保険の適用外です。
【訪問マッサージの対象者】
・医師が必要と認めた人
訪問マッサージを利用するには、主治医の同意書が必要となり、医療保険の対象となります。
同意書の有効期限は6カ月間であり、変形徒手矯正術の有効期限は1か月と定められています。
期限を過ぎて施術を受けたい場合は、再び同意書が必要になります。
医師が必要と認める疾患には、脳血管障害、リウマチ、パーキンソン病、脊椎損傷、ALS、脊柱管狭窄症、腰痛等があります。
・通院が困難な人
脳血管障害などによる後遺症といった「筋麻痺」や「筋委縮」、怪我や疾患などで関節を動かす機会が減少して生じる「関節拘縮」などの症状があり、自力での通院が困難な人が対象となります。
【訪問マッサージの施術の種類】
・あん摩
あん摩は中国由来の手技療法です。
「按摩」と書きますが、按は「押す」、摩は「撫でる」ことを表していて、これに「揉む」「たたく」といった4つの手技を加えて、体の健康を増進させる療法です。
・マッサージ
マッサージは西洋発祥の施術法です。
徒手(何も持たない手)を用いて皮膚に直接刺激を与え、身体の末端から中心に向かい力を加えることで、血液やリンパ液の循環を促します。
直接皮膚に触れて施術するため、より滑らかに刺激できるようにオイルやパウダーを用いる場合もあります。.
・指圧
指圧は日本発症の施術法です。
指圧は指だけではなく手のひらなどの徒手を用い、全身にある「ツボ」と呼ばれる指圧点を押します。
これにより、人間に元々備わっている自然治癒力が促進されると考えられています。
主な効果として筋肉がほぐれ、リンパや血流が改善されるほか、神経系や内分泌系を刺激することで内臓の働きも活性化されます。
・変形徒手矯正術
変形徒手矯正術は、脳血管障害の後遺症やリウマチなどによって関節が拘縮している場合に、関節の可動域を広げるために施術します。
関節や筋肉を伸ばしたり動かしたりすることで、痛みの緩和や日常生活上の機能回復を目指します。
【訪問マッサージの料金】
訪問マッサージの料金は厚生労働省によって定められており、全国一律の料金体系です。
以下の3つの要素で訪問マッサージの料金が決まります。
[施術の種類や部位数]
・マッサージ
「体幹」「右上肢」「左上肢」「右下肢」「左下肢」の5部位を施術します。
1部位につき350円と定められています。
・変形徒手矯正術
「肩関節」「肘関節」「手関節」「股関節」「膝関節」「足関節」の6部位を施術します。
1部位につき450円と定められています。
[往療料(出張料)]
訪問距離が4㎞以内は2,300円、4㎞以上は2,550円です。
[利用者が負担する割合]
訪問マッサージは医療保険が適用されるため、施術料金と往診料を合わせた合計金額のうち、利用者の自己負担は1割から3割です。
75歳以上の人は1割負担、70歳から74歳の人は2割負担、その他の人は3割負担です。
なお、「障がい者医療費助成制度」を利用することで、自己負担無しで訪問マッサージを受けることも可能です。
【訪問マッサージの施術時間・回数】
訪問マッサージの時間に関して、法令の規定が無く明確な根拠はありませんが、訪問リハビリテーションに倣って20分から30分というケースが多いようです。
回数も上限が決められてはいませんが、症状が軽い場合は週に1回。
痛み、拘縮、麻痺、筋力低下などある場合は、週に2回。
症状が重い人や障害認定を受けている場合は、週3回くらいが目安とされています。
【訪問マッサージと訪問リハビリテーションの違いについて】
訪問マッサージと訪問リハビリテーションは目的が異なるため、同時期に併用することができます。
それぞれの特性や専門性を活かし相乗効果を得ることも可能です。
[目的]
・訪問マッサージ:関節の動き、疼痛の改善、動作機能の回復
・訪問リハビリテーション:日常動作機能の回復、関節可動域の維持
[対象者]
・訪問マッサージ:歩行困難や寝たきりなど日常生活に困難がある人
・訪問リハビリテーション:要支援、要介護似認定を受けた人
[提供内容]
・訪問マッサージ:あん摩、マッサージ、指圧、変形徒手矯正術
・訪問リハビリテーション:理学療法、作業療法、言語療法
[施術者]
・訪問マッサージ:あん摩マッサージ指圧師
・訪問リハビリテーション:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
[適応される保険]
・訪問マッサージ:医療保険のみ
・訪問リハビリテーション:介護保険、医療保険
[医師が作成する書類]
・訪問マッサージ:医師の同意書(診断書)
・訪問リハビリテーション:医師の指示書または診療情報提供書
[交通費]
・訪問マッサージ:必要
・訪問リハビリテーション:不必要