2025.03.28
相談員ブログ
脳に悪影響を及ぼすタンパク質について
【脳内のタンパク質について】脳内のタンパク質は、神経細胞の働きを支え、情報の伝達や記憶の形成に重要な役割を果たしています。
例えば、神経細胞の膜にある受容体タンパク質は、神経物質を受け取り、信号を伝えることで、思考や感情、運動をコントロールします。
さらに、シナプスという神経細胞同士の接続部分では、シナプス関連タンパク質が細胞の結びつきを強め、学習や記憶を助けます。
ほかにも細胞の形を保つ構造タンパク質(タウタンパク質など)は神経細胞の健康維持に欠かせません。
このように脳のタンパク質は脳機能を支える重要な役割を担っています。
【脳に悪影響を与えるタンパク質について】
通常の状態であるタンパク質は脳にとって欠かせない存在ですが、異常になると神経細胞の働きを邪魔し、認知症や運動障害を引き起こします。
●アミロイドβ(Aβ)
[どのようなタンパク質か]
脳の神経細胞外でつくられる小さなタンパク質。健康な人の脳にも存在するが、上手く排出されずにたまりすぎると問題を起こす。
[脳への悪影響]
・異常に蓄積すると「アミロイド班(プラーク)というかたまりを作り、神経細胞の働きを邪魔する。
・炎症を引き起こし、脳細胞を死滅させる。
[関係する病気]
・アルツハイマー病
・軽度認知障害(MCI)
●タウタンパク質
[どのようなタンパク質か]
神経細胞の中にあり、細胞の形を保ったり、栄養を運ぶ「レール(微小管)」を安定させたりする。
[脳への悪影響]
・異常になると過剰にリン酸化されて、もつれた糸のように絡まり、細胞の中でゴミとなる。
・これにより、神経細胞のレールが壊れ、栄養が届かずに細胞が死ぬ。
・脳の萎縮を引き起こす。
[関係する病気]
・アルツハイマー病
・前頭側頭型認知症(FTD)
・進行性核上性麻痺(PSP)
●α-シヌクレイン
[どのようなタンパク質か]
神経細胞の中にあり、主に「シナプス(神経同士のつなぎ目)」で働く。正常な状態では、神経細胞の活動を助ける役割がある。
[脳への悪影響]
・異常に変異すると「レビー小体」というゴミのようなかたまりを作る。
・シナプスの働きを妨害し、記憶や運動機能に問題を引き起こす。
[関係する病気]
・パーキンソン病(運動機能が低下)
・レビー小体型認知症(幻覚・妄想・認知障害)
・多系統萎縮症(MSA)(運動・自律神経の障害)
●TDP-43(TAR DNA結合タンパク質-43)
[どのようななタンパク質か]
細胞の中で、RNA(遺伝子の情報を使う分子)を調整する役割を持つ。
[脳への悪影響]
・異常なTDP-43がかたまりになって蓄積し、神経細胞を壊す。
・筋肉を動かす神経細胞や、前頭葉・側頭葉の神経細胞に特に影響を与える。
[関係する病気]
・ALS(筋萎縮性側索硬化症)(筋肉が動かなくなる病気)
・前頭側頭型認知症(FTD)(人格の変化、社会性の低下)
●プリオンタンパク質(PrP)
[どのようなタンパク質か]
脳に存在する正常なタンパク質だが、異常な形に変わると「プリオン」と呼ばれる。
[脳への悪影響]
・異常なプリオンタンパク質は他の正常なプリオンタンパク質も異常な形に変えてしまう。
・異常なプリオンタンパク質が脳内で増えると、神経細胞がスポンジ状に壊れていく。
[関係する病気]
・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)(急速に進行する認知症、運動失調を生じて死に至る)
・致死性家族性不眠症(FFI)(不眠症から脳機能が低下し死に至る)