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2025.04.07
相談員ブログ

老人語について

【フィクション上での老人語とは】
漫画やアニメなどに登場する高齢者が、「わしは~じゃ」「~だのう」「~しておる」などと話しているシーンをたびたび見聞きします。
ところが、このいわゆる「老人語」を、実際に高齢者から耳にすることはほとんどありません。
その一方で、西日本の人が方言として似たような言葉遣いをしているのは、よく聞きます。
一体この「老人語」はなぜ生まれ、なぜフィクションの世界では定着しているのでしょうか。

【老人語の起源】
その起源は江戸時代にまでさかのぼります。
江戸幕府が開かれて、急速に江戸の町は発展しました。
江戸には様々な地域から多くの人たちがやって来ていて、各々の方言を話していました。
この時期の経済や文化の中心は西日本でしたので、上流階級は西日本の出身者でした。
したがって、当時の実力者の間では西日本の言葉が主流だったのです。
その一方、庶民はもともと江戸言葉を話していました。
江戸時代中期になると、江戸は繁栄し、江戸言葉が新しい標準語になっていきました。
それに対して、高齢者層や、特に知識人層は、依然として西日本言葉を使っていたのです。
このような高齢者の話し方は、歌舞伎や落語、講談の中で誇張して表現されるようになり、「江戸=若者」「西日本=老人」という風潮の中で、西日本の言葉が老人の言葉として定着していていきました。
その流れは、近代以降も小説や漫画などに受け継がれて、今に至ると言われています。

【役割語について】
「老人語」に限らず、登場人物のキャラクターを表現するために、さまざまな「役割語」が生まれてきました。
役割語はそれぞれ別個の起源を持っていますが、特定の言葉遣いを聞くと特定の人物を想起できるためフィクションの中で定着していったようです。
具体的には下記のような言葉が挙げられます。

・性差
男語、女語、少年語、お嬢様語、奥様語

・年齢
老人語、おばあちゃん語、幼児語

・職業・階層
上司語、王様語、やくざ語、ヤンキー語、軍隊語、遊女語

・時代
武士語、公家語、町人語

・その他
宇宙人語、ロボット語、幽霊語、外人語

【実際の老人語について】
昔は使われていたけれど、現在は聞き慣れなくなった言葉を高齢者が話すことがあります。
これも「老人語」と呼ばれますが、認識しておくことで高齢者とのコミュニケーションがとりやすくなります。
一部ですが以下のような言葉が老人語として挙げられます。

衣文掛け(えもんかけ)→ハンガー
オーバー→コート
別珍(べっちん)→綿の横ビロード織り
内隠し→内ポケット
猿股→ブリーフ
とっくり→タートルネック
帳面→ノート
天火→オーブン
メリヤス→ニット製品
誂物(あつらえもの)→注文して作らせた品物
舶来品→輸入品
水菓子→果物
厠(かわや)→トイレ
所望(しょもう)→欲しがる
チョンボ→失敗
今生(こんじょう)→生きているあいだ
往生する→困る
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