2025.06.02
相談員ブログ
痛風について
【痛風とは】「痛風」とは、ある日突然、足の関節などに激しい痛みと腫れが起こる病気です。その痛みは我慢できないほど強く、「風が吹くだけでも痛い」と表現されることもあります。
原因は、血液中の尿酸が過剰になり、関節に尿酸の結晶がたまって炎症を起こすためです。日本では約125万人が痛風と診断されており、さらにその予備群である高尿酸血症の人は、1,000万人にも及ぶとされています。
尿酸は「プリン体」という物質が分解されることで生じる老廃物です。プリン体は体内の細胞や食物中に存在し、もともと体に必要な成分でもあります。通常、尿酸は血液中に溶け、腎臓を通じて尿とともに排出されます。
しかし、尿酸が過剰に作られたり、うまく排出できなかったりすると、血中に尿酸濃度が高まり「高尿酸血症」になります。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるとこの状態とされます。
高尿酸血症が続くと、関節内で尿酸が結晶化し、それを免疫細胞が異物とみなして攻撃することで症が起こります。これが「痛風発作」です。
【痛風の原因】
痛風の直接的な原因は高尿酸血症ですが、その背景には食生活や飲酒、運動不足、肥満などの生活習慣が深く関係しています。
[食生活とプリン体]
プリン体を多く含む食品を大量に摂取すると、尿酸値が上がりやすくなります。特に以下の食品は注意が必要です。
・レバー(内蔵系)
・魚卵、白子、アンコウの肝
・干物、干し椎茸など乾燥食品
ただし、近年の研究では、「食事由来のプリン体が尿酸値に与える影響は全体の20%程度」とされ、過度に神経質になる必要はありません。バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
[アルコール]
アルコールは、尿酸の生成を促進し、同時に腎臓からの排泄を妨げます。特にビールはプリン体を多く含まれるうえ、アルコール自体にも尿酸値を上げる作用があるため注意が必要です。
[肥満と代謝異常]
肥満はインスリン抵抗性を招き、腎臓からの尿酸排泄を妨げます。内臓脂肪が多い人ほど尿酸値が高くなりやすいことがわかっています。
[その他の要因]
・激しい運動や脱水
・ストレスや睡眠不足
・遺伝的体質(家族に痛風歴がある)
これらも尿酸値を一時的に上昇させ、発作の引き金となる可能性があります。
【痛風の症状や特徴】
痛風の典型的な症状は、関節の突然の激痛・腫れ・熱感です。多くの場合、片側の関節に急激に症状が現れます。
[よく見られる部位]
・足の親指のつけ根(最も頻度が高い)
・足首、かかと、足の甲
・まれに膝や手の指、肘など
尿酸の結晶は体温が低い末端部にたまりやすく、特に夜間や早朝に発作が起こりやすいとされています。
[発作の経過]
・多くは12時間以内に痛みがピークに達します
・治療しなくても7~10日で自然に軽快することがありますが、再発しやすくなります
・慢性化すると関節の変形や腎臓障害を引き起こす恐れがあります
[その他の症状]
・耳のふち、肘、足の関節周囲などに「痛風結節」と呼ばれるしこりができることがあります。これは尿酸結晶の慢性的に沈着によるもので、痛みがない場合もありますが、大きくなると関節の動きを妨げることもあります。
・長期間の高尿酸血症により、関節に慢性的な炎症が起きたり、腎臓に結晶が沈着して腎機能が低下することがあります。
[合併症のリスク]
高尿酸血症は痛風だけではなく、以下の疾患とも関連しています。
・糖尿病:高尿酸血症はインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)と関連しており、糖尿病のリスクを高めます。
・脂質異常症:悪玉コレステロール(LDL)の増加や中性脂肪の上昇と関連します。
・高血圧:尿酸が血管内皮に影響を与え、血管の柔軟性を低下させることで高血圧を引き起こすことがあります。
・尿路結石:尿酸が結晶化し、尿管や腎臓に結石を形成することがあります。
これらの疾患が重なることで、動脈硬化が進行しやすくなり、結果として次のような重大な病気につながる可能性があります。
・心血管疾患:狭心症、心筋梗塞など
・脳血管疾患:脳梗塞、脳出血など
また、尿酸が腎臓に蓄積することで、慢性の腎障害(痛風腎)を引き起こし、慢性腎不全に進行することもあります。これは進行すると透析治療が必要になることもあるため、早期の対策が重要です。
【痛風の予防】
痛風は生活習慣の改善により予防・再発防止が可能です。次のような習慣を心がけましょう。
①肥満を解消する
肥満は痛風の大きな要因です。無理なダイエットではなく、バランスのよい食事と適度な運動を組み合わせて、ゆるやかに体重を減らすことが大切です。特に内臓脂肪を減らすことで、尿酸の代謝も改善されます。
②プリン体を多く含む食品は控えめに
プリン体が多く含まれる食材(レバー、魚卵、干物など)は量を控えめにしましょう。また、煮汁にプリン体が溶け出すため、調理した煮汁は飲まないようにしましょう。
③野菜をしっかり摂取する
野菜や海藻、キノコ類を積極的に摂り、1日350gを目安にしましょう。尿をアルカリ性に保ち、尿酸が溶けやすくなります。
④水分を十分に摂る
水を1日1.5~2ℓを目安にしっかり取りましょう。こまめに水分を補給することで、尿の量が増え、尿酸が体の外へ出やすくなります。糖分の多い飲料は尿酸値を上げる原因になるため、控えめに。
⑤アルコールは控えめに
ビールをはじめとするアルコール類は、尿酸の産生と排泄の両方に悪影響を及ぼします。飲む量を以下の範囲におさえるようにしましょう。
・ビール:500㎖
・ワイン:100㎖
・ウイスキー:60㎖
飲まない日を設ける「休肝日」をつくることも効果的です。
⑥軽い運動を続ける
ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に3~5回30分程度行うと、代謝が改善され、尿酸の排泄が促されます。激しい運動はかえって逆効果になることがあるので、無理のないペースで続けることが大切です。