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2025.06.04
相談員ブログ

杖について

【杖の目的と役割】
杖は歩行を補助するための補助具(福祉用具)です。
杖は持ち運びが容易で気軽に使いやすい一方、支えとしての力は限定的であるため、自力で一定時間立位を保てる方に向いています。
杖の主な目的・役割は以下の通りです。

①歩行の補助
加齢に伴い筋力やバランス機能が低下し、歩行が不安定になることがあります。
杖を用いることで両足と杖の3点で身体を支え、ふらつきを軽減することができます。

②足腰への負担軽減
足腰に痛みがあり、歩行が困難な高齢者にとって杖は有効です。
杖に体重をかけることで荷重が分散し、膝や腰、股関節への負担が軽減され、痛みの緩和にもつながります。

③安心感の向上
歩行に不安があると、転倒への恐れから外出を控えるようになります。
杖を利用することにより身体の安定性が増し、外出に対する安心感が得られます。
これにより、活動範囲の拡大や社会参加の促進が期待できます。

④障害物への対応
高齢になると視力や注意力が低下し、足元の障害物や段差に気づきにくくなります。
杖の先で地面を確認しながら歩行することで、障害物を察知し、転倒リスクを軽減できます。

【杖の種類と特徴】
[T字杖(一本杖)]
グリップと支柱のみで構成されており軽量で扱いやすく、使い方もシンプルなため、初めて使用する方に適しています。
折り畳み式・伸縮式・固定式などの種類があり、使うシーンに応じて選ぶことができます。
比較的バランスが良く、適度な握力がある方に適しています。

[多点杖(多脚杖)]
杖先が3本または4本に分かれており、安定性に優れています。
立位のバランスが不安定な方や、関節リウマチのある方の歩行補助に適しています。
平地での使用に適していますが、段差のある場所では引っかかることがあるため、注意が必要です。

[2本杖]
両手に1本ずつ持ち、4点で身体を支えることでバランスが安定します。
足腰への負担軽減や転倒予防に有効で、術後やけがのリハビリテーションに適しています。

[松葉杖]
脇当てとグリップが付いており、通常は2本1組で使用します。
両腕で身体を支え、下肢への荷重を大幅に軽減します。
骨折や捻挫、下肢の麻痺、股関節疾患などに適応されます。
使用にはある程度のスペースが必要なため、狭い場所での使用には不向きです。

[ロフストランド杖(ロフストランドクラッチ)]
前腕を通す輪(カフ)と握り手(グリップ)があるタイプの杖です。
前腕と手の両方で体重を支えるため、荷重が分散されやすくなっています。
握力が弱い方や、下肢に体重をかけられない方に適しています。

[肘支持型杖(リウマチ杖)]
杖の上部に肘を支える横木がついており、肘全体で体重を支える構造です。
リウマチや関節炎などで手首や肘が伸ばせない方に適しています。

【杖の選び方】
杖の選定は身体の状態に応じて行う必要があります。以下の点に注意して選びましょう。

[身体の状態に合わせる]
歩行困難の原因や残存機能は人それぞれ異なります。
同じ病名でも適切な杖は異なるため、理学療法士や福祉用具専門員などに相談することが大切です。

[身長にあったものを選ぶ]
杖の長さは非常に重要です。
身長に合っていない杖を使うと転倒リスクが高まり、身体に負荷がかかります。
一般的に「身長÷2+2~3cm」が目安といわれますが、背中が曲がっている方などは調節可能なタイプを選びましょう。

[グリップの握りやすさ]
グリップの素材・形状・サイズ・デザインは様々です。
手の大きさや握力に応じて、手になじみむものを選びましょう。

[用途に応じた選定]
常に使用する場合は「伸縮式」や「固定式」が適しており、必要な時だけ使いたい場合や持ち運びを重視する場合は「折り畳み式」が便利です。

【杖は購入かレンタルか】
2024年度介護保険制度改定により、介護保険を利用して杖を含む福祉用具の購入が一部可能となり、レンタルまたは購入を選べるようになりました。
以下にそれぞれのメリットとデメリットをしまします。

●購入
[メリット]
・新品を使用できる
・好みに合ったデザインやサイズを選べる
・長期間使用する場合、レンタルよりも経済的になる可能性がある

[デメリット]
・初期費用が高い
・使用して合わなかった場合でも返品不可の場合が多い
・修理やメンテナンスは自己負担
・不要になった際の処分が必要
・破損時には再購入が必要
・身体状態の変化により買い替えが必要となる可能性がある

●レンタル
[メリット]
・初期費用が抑えられる
・短期間の使用に適している
・月々のコストが低い
・不要になれば返却可能
・修理・メンテナンスに対応
・使用期間を活用し、適合性を確認できる

[デメリット]
・長期間使用する場合は、購入より費用がかさむ可能性がある
・選択肢が限られている
・新品ではなく中古品を使用する場合がある



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