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2025.06.10
相談員ブログ

老人性紫斑~高齢者のあざ~にいて

【老人性紫斑(ろうじんせいしはん)とは】
老人性紫斑とは、高齢者の皮膚にできる青紫色のあざ(皮下出血)のことを指します。
転倒や強い打撲などの明らかな外傷がないにもかかわらず、軽い接触や衣服とのこすれ、手をつかまれたといったわずかな刺激によっても簡単に出現します。
加齢に伴って皮膚や皮下組織のコラーゲンや脂肪が減少し、皮膚の弾力性が低下します。
また、血管壁も同様に脆くなり、毛細血管がわずかな衝撃で破れて出血しやすくなります。
さらに、高齢者の皮膚は薄くなっているため、皮下出血が外見上はっきりと見えるようになります。
これらの紫斑は「老人性紫斑」と呼ばれ、基本的には加齢に伴う自然な生理現象であり、一般的には数週間以内に自然に消失します。
痛みなどの自覚症状も少なく、通常は心配のないものです。
ただし、紫斑ができやすい体質の方では、皮膚が破れて裂傷(スキンテア)になることもあり、注意が必要です。
また、皮膚に紫斑が現れる病気は他にも多く存在します。たとえば、血液の病気、肝機能障害、感染症、薬剤の副作用なども考えられるため、繰り返し紫斑が出現する場合や、他の症状を伴う場合には医療機関での診察を受けることが重要です。

【原因】
老人性紫斑は、皮膚および血管壁の構造的な脆弱化、そして紫外線が主な原因とされています。これらの変化は主に加齢に伴って生じ、皮膚の外観や機能に影響を及ぼします。

[皮膚の脆弱化]
皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層から構成されています。
このうち真皮層には、コラーゲンやエラスチンといった繊維状のタンパク質が網のように張り巡らされ、皮膚の弾力性や強度、保水性を支えています。
しかし、加齢とともにこれらのコラーゲンやエラスチンが減少・変性し、その結果、皮膚は薄くなり弾力を失っていきます。さらに皮下脂肪も減少することで、外部からの衝撃が直接皮膚や血管に伝わりやすくなります。
このように、コラーゲンの「網」が緩んでくると、皮膚そのものの耐久性が低下し、ちょっとした摩擦や接触でも皮膚内部の血管が損傷しやすくなります。
そのため、日常生活の中で気づかない程度の軽微な刺激でも、皮下出血を起こして紫斑として現れるのです。

[血管壁の脆弱化]
加齢に伴うもう一つの重要な変化は、血管壁自体の脆弱化です。
毛細血管や小血管の壁は、コラーゲン、弾性線維、基底膜などによって構成されています。これらの構造要素も年齢とともに劣化し、量が減るだけでなく質も低下します。
特に基底膜が薄くなることで血管の強度が失われ、わずかな力でも血管が破れやすくなります。
これにより、軽い打撲や摩擦、あるいは自覚のないような刺激でも、毛細血管が破れて紫斑を形成するのです。
また、高齢者では血液の再吸収や修復能力も低下しているため、一度出血するとそれが長引きやすく、あざのような見た目が目立ちやすくなります。

[紫外線の影響]
長年にわたり紫外線にされされることも、皮膚と血管の脆弱化を進行させます。紫外線は真皮層のコラーゲンやエラスチンを破壊し、「光老化」と呼ばれる、加齢とは異なる皮膚の劣化を引き起こします。老人性紫斑が手の甲や前腕など、日光に当たりやすい部位に多く現れるのはこのためです。

【症状】
老人性紫斑では、以下のような症状が現れます。
・紫色や青紫色のあざ(紫斑)が手の甲や前腕、顔などに現れる
・あざの境界は比較的はっきりしている
・複数個所に同時に出現することもある
・数日から数週間で自然に消える
・軽度の摩擦や刺激でも繰り返し発生する
・痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどない
ただし、皮膚が極端に薄くなっている場合や、繰り返し出現する場合には、皮膚が破れて裂ける「スキンテア」が起きやすくなるため注意が必要です。

【治療と予防】
老人性紫斑そのものに特別な治療は必要ありませんが、皮膚の保護と保湿を心掛けることで、再発予防や回復の促進が期待できます。

[スキンケアと保護]
・医師の指導のもと、保湿クリームをこまめに塗布し、皮膚の柔軟性とバリア機能を維持する
・保湿剤の上にワセリンなどの保護用軟膏を重ね塗りすることで外的刺激から皮膚を守る
・手袋や長袖衣類などで皮膚を覆い、物理的刺激から保護する
・家具の角や出っ張りなど、日常生活でぶつかりやすい環境は改善する

[栄養面の配慮]
・コラーゲンの生成を助ける栄養素(ビタミンC、亜鉛、鉄、タンパク質)を意識して摂取する
・動物性タンパク質(肉、魚、卵など)をバランスをよく取り入れる

[注意点]
・あざが濃い、広がりが早い、痛みを伴う場合には、医師の診療を受ける
・ステロイド剤(外用・内服ともに)は出血を悪化させることがあるため、使用中の方は医師に相談する
・紫斑が出る原因には他の病気が隠れていることもあるため、自己判断で放置せず専門医の診断を受ける
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