2025.06.11
相談員ブログ
認知症の診断について
【認知症は早期発見が大切】認知症は、現時点では根本的に治療する方法が確立されていません。
症状が顕著に現れる段階では、すでに脳が損傷している状態にあります。
しかしながら、早期発見によって進行を遅らせることは可能です。
手遅れを防ぐためには、「MCI(軽度認知障害)」の段階での発見が重要です。
MCIとは、まだ認知症とは診断されないものの、健常と認知症の中間にあたるグレーゾーンの状態を指します。
MCIの診断基準は以下の5項目です。
①本人または家族(介護者)による物忘れの訴えがある。
②客観的に記憶障害が認められる。
③基本的に日常生活は送れている。
④全般的な認知機能は保たれている。
⑤認知症ではないと判断される。
【認知症の相談は何処でするのか】
認知症が疑われる場合には、下記の機関で相談が可能です。
[かかりつけ医]
症状が発生する前後の状況を把握しているかかりつけ医に相談するのが望ましいです。
医師が認知症の疑いがあると判断した場合は、専門の医療機関で検査を受けることになります。
[認知症を診察できる診療科]
かかりつけ医がいない場合、以下の診療科で相談できます。
・精神科
・心療内科
・脳神経内科・外科
・老年科
・もの忘れ外来
[認知症疾患医療センター]
認知症疾患医療センターは都道府県や政令指定都市が設置する認知症専門の医療機関です。
医療相談や診断、診察、地域の医療機関の紹介などを行っています。
【認知症診断の流れ】
①問診
医師が本人および家族に対して問診を行います。
本人が認知症を自覚していない、あるいは認めないことも多いため、日常的に接している家族からの客観的な情報が重要です。
②身体検査
他の疾患との鑑別のため、レントゲン、血液検査、心電図、感染症検査、尿検査などを行います。
③認知症検査
「神経心理学検査」と「脳画像検査」の2つが主に実施されます。
・「神経心理学検査」:医師や心理士が質問や作業を通じて評価します。ただし、本人の不安や緊張により、正確な結果が得られにくい場合もあります。
・「脳画像検査」:医療機器で撮影された画像をもとに、脳の萎縮や血流の状態などを確認します。脳の形状(構造)と働き(機能)をそれぞれ評価します。
【認知症の神経心理学検査の種類】
・改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
日にちや場所の記憶、計算などを確認する検査。30点中満点中、20点以下で認知症の疑いあり。
・ミニメンタルステート検査(MMSE)
11項目の質問を通じて認知機能を測定。30点満点中、21点以下で疑いあり。
・時間描画テスト(CDT)
指定された時刻の時計を描かせる検査。形状や数字、針の正確性で評価。
・DASC-21
21の質問で認知機能と生活機能を評価。介護者からの情報を得て、9段階でスコア化。
・ABC認知症スケール(ABC-DS)
13の質問で、日常生活動作・行動心理症状・認知機能を簡易的に評価。
・Mini-cog
3語の記憶(即時・遅延再生)と時計描画テストを組み合わせた検査。
・MoCA
複数の認知機能領域を評価する面接式検査。HDS-RやMMSEでは検出困難な認知症にも有効。
【主な脳画像検査】
・CT(コンピュータ断層撮影)
X線で脳の断面を撮影。萎縮や外傷、病状の程度を評価。
・MRI(磁気共鳴画像)
磁気と電波により脳内部を撮影。脳腫瘍・脳梗塞・動脈瘤・出血なども確認可能。
・VSRAD
MRI画像を用いて、アルツハイマー型認知症で特徴的な海馬の萎縮度を測定。
・SPECT
微量の放射線を含む薬剤を用いて脳の血流を画像化。血流低下部位の解析により診断を行う。