2025.07.09
相談員ブログ
夏卒中について
【夏卒中とは?】夏卒中とは、夏場に発症しやすい脳卒中のうち、特に「脳梗塞」を指す言葉です。脳卒中は、脳の血管が詰まる(脳梗塞)か、破れる(脳出血・クモ膜下出血)ことで、脳細胞が障害を受ける病気です。一般的には冬に多いイメージがありますが、脳梗塞に限っては、夏(6~8月)にも発症が増えることが分かっています。
【なぜ夏に脳梗塞が増えるのか?】
その主な理由は、夏の高温多湿な環境による「脱水症」です。暑さで汗をかくことで体内の水分が失われ、血液の粘度が高くなり、いわゆる「ドロドロ血」になりやすくなります。すると血栓(血のかたまり)ができやすくなり、これが脳の血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こします。
また、夏は体温調節のために血管が拡張しやすく、血流が遅くなることも血栓の形成を促進します。さらに冷房の効いた室内と屋外との気温差により、血圧が急激に変動することも脳卒中のリスク要因となります。
【高齢者が夏卒中に注意すべき理由】
特に高齢者は、夏卒中のリスクが高いとされています。加齢により喉の渇きを感じにくくなるほか、腎機能や体温調節機能が低下しているため、脱水に気付きにくくなります。また、高血圧・糖尿病・心疾患などの持病や、それに伴う服薬の影響で、血栓ができやすくなる傾向もあります。
さらに、一人暮らしや高齢者のみの世帯では、体調の変化に周囲が気付きにくく、室内でも熱中症や脱水が進行しやすい状況になりがちです。冷房を控える傾向もあり、暑さや脱水のリスクが高まります。
高血圧や心疾患などの治療に使われる利尿薬を服用していると、体内の水分がさらに失われやすくなります。また、汗をかく能力や血管の収縮・拡張機能も低下しているため、体温調節がうまくできず、暑さや脱水を自覚しにくいのです。これらが重なり、夏の脳梗塞リスクはより高まるのです。
【夏卒中の初期症状】
夏卒中の代表的な初期症状は以下のとおりです。
・突然、片方の手足が動かなくなる・しびれる
・ろれつが回らない、言葉が出にくい
・片方の目が見えにくい、視野が欠ける
・足元がふらつく、めまいがする
これらの症状が急に現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。脳梗塞は、発症から治癒までの時間が短いほど、後遺症や重症化を防ぐ可能性が高まります。特に高齢者の場合、「なんとなく元気がない」「いつもと様子が違う」といったわすかな変化にも注意が必要です。
【夏卒中を予防するためにできること】
予防の基本は「こまめな水分補給」です。のどの渇きを感じていなくても、1日数回、コップ1杯程度の水を飲む習慣をつけましょう。特に、起床時、入浴の前後、就寝前、外出前後などは意識して水分をとることが大切です。
お茶やコーヒー、アルコールは利尿作用があるため、水や麦茶、経口補水液などがおすすめです。
室温管理も重要で、冷房を適切に使用し、室温を28℃以下に保つように心掛けましょう。高齢者が冷房を嫌がる場合は、熱中症や脱水の危険性を説明し、無理のない範囲で使用を促すことが必要です。
食事からの水分・塩分の補給も有効です。夏は食欲が落ちやすいですが、冷たい麺類や果物、ゼリーなど、食べやすいものを工夫して取り入れましょう。栄養バランスにも配慮することが大切です。
【家族や介護者ができるサポート】
家族や介護スタッフは、「水分をとりましたか?」と定期的に声をかけることが効果的です。飲み物を手元に置いたり、決まった時間に水分をとるよう習慣づけることや、水分摂取量を記録して管理することも有効です。
また、持病の薬を正しく服用し、定期的に医師の診察を受けることも重要です、薬の副作用で脱水や血圧の変動が起こることもあるため、気になる症状があれば早めに医師へ相談しましょう。
【まとめ】
夏は、脱水によって脳梗塞(夏卒中)のリスクが高まる季節です。特に高齢者は、加齢や持病、生活環境の影響により、リスクがさらに高まります。日ごろから水分補給や室温管理、体調観察を心掛け、異変があればすぐに受診することが大切です。
本人だけでなく、家族や周囲の人々が見守りや声掛けを意識することで、安心して夏を過ごすことができます。日々の小さな気配りが、健康を守る大きな力になります。