2025.07.31
相談員ブログ
ドレナージについて
【ドレナージとは】ドレナージとは、体内にたまった余分な液体や空気を体外に排出するための医療処置のことです。
手術後や感染、外傷などによって、体内に血液・膿・滲出液(しんしゅつえき:炎症によりしみ出た体液)などがたまると、治癒の遅れや症状の悪化につながることがあります。
こうした不要なものを体外に排出するために用いられる細い管を「ドレーン」と呼び、ドレーンを使って排出を行う処置全体が「ドレナージ」です。
【ドレナージの目的】
ドレナージには以下のような目的があります。
・体内の液体や空気を排出して症状を軽減する
体内に液体や空気がたまると、痛み・圧迫感・呼吸困難などを引き起こすことがあります。排出することで、これらの症状を改善します。
・感染の予防および改善
膿や血液が体内にとどまると、細菌が繁殖して感染を引き起こすリスクが高まります。ドレナージによりこれらを除去することで、感染の予防や拡大の抑制につながります。
・創部(傷口)の治癒促進
手術やけがの後、創部に体液がたまると治りが遅くなります。早期に排出することで、治癒を促進します。
・体内の状態を観察する
排出された液体の量や性状(色、におい、濁りなど)を観察することで、術後や感染の経過を確認する手がかりとなります。
【ドレナージの主な種類】
ドレナージにはいくつかの方法があり、大きく以下のように分類されます。
[自然排出型(パッシブドレナージ)]
体内と体外の圧力差や重力を利用し、自然に液体を排出させる方法です。ドレーンの先端を排液袋やガーゼで受け止めるのが一般的です。
使用例:浅い傷、軽度の感染、低リスクな術後管理など。
[吸引型(アクティブドレナージ)]
陰圧(吸引)をかけることで、体内の液体を積極的に吸い出します方法です。専用の排液バッグや機械を接続して使用します。
使用例:腹部・胸部の手術後、感染のリスクが高い場合、膿瘍(のうよう:うみのたまり)のあるケースなど。
[閉鎖式ドレナージ]
排液経路が外部と完全に遮断されており、感染予防が高い方法です。多くの場合、吸引型と併用されます。
使用例:清潔管理が重要な大手術など。
[胸腔・腹腔ドレナージ]
・胸腔ドレナージ:肺の周囲にたまった空気や液体を排出し、呼吸機能を改善します(例:気胸・胸水など)。
・腹腔ドレナージ:手術後や腹膜炎などにより腹部にたまった液体や膿を排出します。
【具体的な使用場面】
以下のような状況でドレナージが用いられます。
・手術後に創部周辺に液体がたまった場合→感染予防と治癒の促進
・腹部内に膿がたまった場合(腹腔内膿瘍)→膿を排出し、炎症を軽減
・気胸(肺がしぼむ状態)の治癒時→胸腔内の空気を抜き、肺を再び拡張させる
・血液の貯留により呼吸や臓器が圧迫される場合→血液を排出し、臓器の機能を保つ
【メリットとデメリット】
[メリット]
・体内の余分な液体や空気を効率よく排出できる
・感染の予防や治療に寄与する
・創部の治療を早める効果がある
・術後や感染の経過観察に有用な情報が得られる
[デメリット]
・ドレーンの挿入により違和感や痛みを伴うことがある
・ドレーンの挿入部から感染が生じる可能性がある
・ドレーンが折れたり詰まったりして、排出がうまくいかなくなることがある
・ドレーンが抜けてしまうと、重大な合併症を引き起こすことがある
【ドレーンが抜けた場合のリスクと対応】
ドレーンは、動作中や不注意などにより抜けてしまうことがあります。これは重要なリスク要因となるため、適切な対応が必要です。
[抜去によるリスク]
・排出すべき液体や空気が体内にとどまり、症状が悪化する
痛みの増加、感染症のリスク、呼吸困難などを引き起こす可能性があります。
・治療の遅れや再手術が必要になることがある
たまった液体や膿が原因で再度処置が必要になることもあります。
[抜けた際の対応]
・すぐに医療スタッフや医療機関に連絡する
無理に戻そうとせず、迅速に報告してください。
・挿入部を清潔に保つ
清潔なガーゼなどで覆い、感染を防ぎます。
・医師による再挿入の判断
必要に応じて再びドレーンを挿入します。
【ドレナージ管理の注意点】
ドレーンを安全に使用するには、以下の点に留意することが重要です。
・ドレーンがしっかり固定されているか確認する
・排出される液体の量や色・におい・濁りの変化を観察する
・ドレーンが詰まったり、折れたりしていないか定期的に確認する
・挿入部を常に清潔に保ち、ガーゼは適切な頻度で交換する