2025.08.07
相談員ブログ
夏の心筋梗塞について
【夏にも心筋梗塞は起こる】心筋梗塞と聞くと、寒さで血管が縮まりやすい冬に多い病気という印象があるかもしれません。実際に冬場の発症率は高いとされていますが、夏でも油断は禁物です。特に近年の猛暑や熱帯夜の影響により、夏場の心筋梗塞も増加傾向にあるといわれています。高温多湿な環境が、思わぬ形で心臓へ負担をかけています。
【心筋梗塞とはどのような病気か】
心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が詰まり、血流が途絶えることで心筋が壊死してしまう病気です。
胸の激しい痛みや圧迫感、冷や汗、吐き気、息切れなどの症状が突然現れ、迅速な対応をしないと命に関わることもあります。動脈硬化が原因となることが多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣が大きく関与しています。
【なぜ夏に心筋梗塞が起こりやすくなるのか】
夏場は大量の汗をかくことで、体内の水分や電解質が失われやすくなります。脱水状態になると血液が濃縮してドロドロになり、血栓ができやすくなります。このような状態では血栓が冠動脈を詰まらせて心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。
また、エアコンの効いた室内と外気との温度差によって自律神経が乱れ、血管が収縮・拡張を繰り返し、血圧が急変することもあります。知らないうちに心臓に大きな負担がかかっている可能性があるのです。
【高齢者は特に注意が必要】
高齢者は、のどの渇きを感じにくくなるため、気づかぬうちに脱水状態に陥るリスクが高まります。また、心臓や血管の機能が加齢とともに低下しているため、気温や湿度の変化に適応する力が弱まっています。さらに、心筋梗塞の典型的な症状(胸の痛みなど)が出にくく、「なんとなくだるい」「吐き気がある」といったあいまいな症状で現れることも少なくありません。そのため、異変に気づきにくく、発見や対応が遅れて重症化する場合もあります。
高齢の方がいるご家庭では、日中だけでなく夜間の室温にも注意し、こまめな水分補給や体調の変化への早期対応が重要です。
【予防のためにできること】
心筋梗塞を予防するためには、脱水状態を避けることが第一です。のどが渇く前に、こまめに水分を摂りましょう。汗で失われたミネラルも適度に補うことが大切です。ただし、心不全や腎不全などの持病がある場合は、かかりつけ医の指示に従って水分・塩分の摂取を調整してください。
また、外出時には直射日光を避け、帽子や日傘を使い、涼しい服装を選ぶなどの工夫をして体を守りましょう。室内ではエアコンを適切に使い、室温は28℃以下を目安にし、扇風機なども併用して熱がこもらないようにしましょう。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある方は、服薬や通院の継続、食生活の見直しにも努め、動脈硬化の進行を抑えることが重要です。
【早期対応が命を守る】
心筋梗塞は、発症後の初期対応によって予後が大きく変わります。胸の痛みや圧迫感、呼吸困難、冷や汗などの症状があれば、すぐに救急車を呼び、速やかに医療機関を受診してください。高齢者の場合は、前述のとおり症状がはっきりしないことも多いため、「普段と違う」と感じたときには、自己判断せずに医師へ相談しましょう。
夏は熱中症や脱水への注意が呼びかけられる季節ですが、その背後で心筋梗塞のリスクも確実に高まっています。特に高齢者は自覚がないまま症状が進行する場合があり、周囲の見守りも大切です。水分補給、体調管理、環境調整など、日々の些細な心がけが大きな病気の予防につながります。夏を安全に過ごすためにも、心臓への負担にも注意しましょう。