2025.08.08
相談員ブログ
大腸がんについて
【大腸がんとは】大腸がんは、結腸や直腸に発生する悪性腫瘍で、日本において、がんによる死因の上位を占めています。現在、罹患数においても増加傾向にあり、現代の食生活や高齢化が大きな要因とされています。
【大腸がんが発生する仕組み】
大腸がんは、主に大腸の粘膜から発生します。その典型的な発生ルートとして「腺腫‐がん連続説」という考え方があります。健康な粘膜にまず良性のポリープ(腺腫)ができ、そのポリープの一部の細胞が遺伝子の異常を繰り返し、数年から十数年という長い時間をかけて徐々にがん化へと変化していくパターンです。
このゆっくりとした進行プロセスがあるからこそ、早期に発見し、治療することが非常に重要になります。
【主な原因と危険因子】
大腸がんの原因やリスクは1つではなく、複数の要因が絡み合っています。代表的なものは以下の通りです。
・加齢:年齢重ねるにつれて、発症リスクが高まります。
・遺伝的要素:家族に大腸がんや大腸ポリープを患った人がいる場合、リスクが高まります。中には遺伝性大腸がん症候群と呼ばれる特定の遺伝子異常が原因で発症しやすい方もいます。
・食生活:動物性脂肪や赤身肉の摂り過ぎ、野菜や食物繊維の不足といった欧米型の食事は大腸がんのリスクを上げることがわかっています。また、加工肉や高カロリーな食事も関連が指摘されています。
・生活習慣:運動不足、肥満、過度の飲酒、喫煙もリスクを高める要因です。
・持病(基礎疾患):炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)を長期間患っている方は、がんになるリスクが通常より高くなります。また、糖尿病も大腸がん発症と関連があると考えられています。
これらのリスク要因が重なることで、さらに発症リスクが高まるため、日頃から生活習慣を見直すことが予防につながります。
【大腸がんの主な症状】
大腸がんは初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、進行するにつれてさまざまな症状が現れるようになります。症状はがんのできた場所や進行度により異なります。
・血便:がんからの出血により、便に血が混じることがあります。肛門に近い直腸やS状結腸にがんがある場合は、肉眼でもわかる鮮やかな血が便に付着したり、混じったりすることがあります。一方、肛門から遠い右側の結腸にがんがある場合は、便に血が混じっていても肉眼ではわかりにくく、便潜血検査で初めてわかることが多いです。
・便通の異常:下痢と便秘を繰り返したり、便が細くなったりするなど、以前と比べて便通に変化が現れることがあります。
・腹部の不快感:お腹が張った感じ(腹部膨満感)や、便を出してもすっきりしない感じ(残便感)が現れることがあります。
・腹痛:がんが大きくなると、腸が狭くなったり、炎症が起きたりして腹痛の原因となることがあります。
・体重減少・食欲不振:がんが進行して全身状態が低下することで見られます。
・貧血:がんから慢性的な出血が続くと、貧血が進行し、倦怠感や息切れなどの症状が現れることがあります。
・体重減少や食欲不振:がんが進行し、全身の状態が悪化すると見られる症状です。
・腸閉塞:腸ががんで完全に塞がれてしまうと、激しい腹痛や吐き気、嘔吐などを伴う腸閉塞を起こし、緊急の治療が必要となります。
これらの症状は、大腸がん以外の病気でも起こり得ます。症状に気づいた場合は、自己判断せず、早めに専門医(消化器内科や消化器外科)を受診することが大切です。
【診断と治療】
診断は、便潜血検査や大腸内視鏡検査が中心となります。特に大腸内視鏡検査は、ポリープや癌を直接観察できるだけでなく、組織の一部を採取して詳しく調べたり、早期のがんやポリープをその場で切除したりすることもできます。
治療方法は、がんの進行度やできた場所によって様々です。
・早期がん:内視鏡による切除が可能です。
・進行がん:手術による切除が中心となります。
・より進行したがん:手術に加えて、抗がん剤治療や放射線治療を行います。最近では、特定の遺伝子異常を持つがんに効果のある分子標的薬や、免疫の力を使ってがんを攻撃する免疫チェックポイント阻害薬といった新しい薬も使われるようになっています。また、ロボット手術やがんゲノム医療など、より精密な治療も進んでいます。
【予防・早期発見の重要性】
大腸がんを克服するためには、生活習慣の改善と定期的な検診による早期発見が最も有効です。
[予防]
・食生活の改善:高脂肪・低食物繊維の食事を避け、野菜や果物、きのこ、海藻類などの食物繊維を積極的に摂るように心がけましょう。
・適度な運動:定期的な有酸素運動は、肥満や便秘を防ぎ、がん予防に役立ちます。
・その他:喫煙、節酒も重要な予防策です。
[早期発見]
早期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、症状が出てから受診するのでは手遅れになることがあります。40歳を過ぎたら、症状がなくても年に一度の便潜血検査を継続的に受けることが非常に大切です。
便潜血検査で「陽性」と出た場合は、必ず精密検査として大腸内視鏡検査を受けましょう。もしそこで早期のがんやがん化する前のポリープが見つかっても、その場で切除することでガンの進行を食い止め、完治を目指すことが可能です。
家族に大腸がんの既往歴があるなど、リスクが高い方は、医師と相談のうえ、積極的に定期的な内視鏡検査を受けるようにしましょう。