2025.08.22
相談員ブログ
高齢者がよく服用している薬について
高齢になると、さまざまな体調の変化が起こり、多くの方が複数の薬を服用するようになります。ご自身の飲んでいる薬について知ることは、安心して治療を続ける上でとても大切です。
【高齢者によく見られる薬の種類】
高齢者は複数の慢性疾患(持病)を抱えている方が多く、一人あたり平均して5~6種類以上の薬を服用しているケースが多いです。中には6種類以上になると副作用や有害事象(ふらつき、転倒、物忘れなど)が増えることが知られています。
【よく使われる主な薬とその目的・特徴】
①降圧薬
高血圧の治療のために使います。血圧が高いままだと脳卒中や心臓病になりやすいため、血圧を安定させてこれらの病気を防ぎます。代表的な薬には「アムロジピン(アムロジン)」「バルサルタン(ディオパン)「エナラプリル(レニベース)」などがあります。高齢者では利尿薬やβ遮断薬、α遮断薬、α遮断薬による副作用(脱水、徐脈、起立性低血圧)にも注意が必要です。
②糖尿病治療薬(血糖降下薬)
血糖値を下げるために使われます。飲み薬では「メトホルミン(メトグルコ)」「グリメピリド(アマリール)」など、インスリン製剤には「ランタス」などがあります。特にメトホルミンは75歳以上では腎機能に注意しながら慎重に使います。薬が効き過ぎると低血糖になることがあります。手が震えや冷や汗、意識障害などが出る場合があります。
③コレステロール低下薬
コレステロール値を下げ動脈硬化や心筋梗塞などを予防します。「アトルバスタチン(リピドール)」や「ロスバスタチン(クレストール)」などのスタチン系薬が代表的です。投与中にに筋肉痛や肝機能障害が出ることがありますので、異常があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
④鎮痛薬・消炎鎮痛薬(痛み止め)
関節痛や腰痛、肩こりなど慢性的な痛みを和らげるために使われます。代表的な薬は、「ロキソプロフェン(ロキソニン)」「アセトアミノフェン(カロナール)」「セレコキシブ(セレコックス)」などです。高齢者ではNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は腎障害や消化性潰瘍、認知症潰瘍、認知機能障害のリスクが高まります。
⑤睡眠薬・抗不安薬
不眠や不安に対して使われます。「ゾルビデム(マイスリー)」や「エチゾラム(デパス)」「ロラゼパム(ワイパックス)」など。高齢者はふらつきや転倒、せん妄、依存、記憶障害といった副作用が特に出やすいので、投与は必要最小限とし、医師の管理下で使うことが推奨されます。
⑥骨粗鬆症治療薬
骨を丈夫にし、骨折予防するために使われます。ビスホスホネート製剤「アレンドロン酸(フォサマック)」「デノスマブ(プラニア)」、カルシウム剤やビタミンD製剤など多様な種類があります。
⑦認知症治療薬
認知症の症状をやわらげたり、進行を緩やかにするために使われます。「ドネペジル(アリセプト)」「ガランタミン(レミニール)」「リパスチグミン(イクセロン/リパスタッチ)」「メマンチン(メマリー)」などが主に使われます。
⑧利尿剤
体内の余分な水分・塩分を尿として排出し、むくみや心不全、高血圧などの治療に使われます。代表的な薬は「フロセミド(ラシックス)」「トリクロルメチアジド(フルイトラン)」などです。脱水症状や、体の電解質(塩分などのバランス)が乱れることに注意が必要です。
⑨抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
脳梗塞や心筋梗塞、心房細胞による血栓予防。「ワルファリン(ワーファリン)」「アピキサバン(エリキュース)」「リバーロキサバン(イグザレルト)」などが使われます。
⑩抗血小板薬
血小板の働きを抑え、血栓ができるのを予防し、脳や心臓の血管の病気のリスクを減らすために使われます。「アスピリン(バファリン)」や「クロピドグレル(プラビックス)」などがあります。
⑪便秘治療薬
運動不足や加齢、複数の薬の副作用などで便秘になりやすいため、「酸化マグネシウム(マグミット)」や新しいタイプの「ルビプロストン(アミティーザ)」などが広く使われています。
⑫抗うつ薬
比較的安全性の高い「セルトラリン(ジェイゾロフト)」や「ミルタザピン(リフレックス)」、「エスシタプラム(レクサプロ)」などが多く用いられます。
⑬抗精神薬
レビー小体型認知症など精神症状を伴う場合に、「リスペリドン(リスパダール)」や「クエチアピン(セロクエル)」が使われることがあります。副作用(せん妄、動作緩慢、ふらつき等)が出やすい薬でもあるため、注意深く使用されます。
⑭パーキンソン病治療薬
手足の震えや動作緩慢など運動機能の障害に対して「レボドパ(マドパー、イーシードパール」や「プラミペキソール(ビ・シフロール)」などが使われます。
⑮喘息・COPD吸入薬
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器の病気には、「チオトロピウム(スピリーバ)」や「フルチカゾン(フルタイド)」などの吸入器が使われます。
【高齢者の薬の服用で特に大切なこと】
高齢者は、肝臓や腎臓の機能が若い頃よりも低下しやすいため、薬が体内に残り副作用が出やすくなります。また、複数服用により薬同士の相互作用や予期せぬ有害症状(ふらつき、転倒、認知機能低下など)が増えます。さらに、健康食品やサプリメント、市販薬による重複や相互作用にも注意が必要です。「かかりつけ薬剤師」や「お薬手帳」を積極的に活用しましょう。
ご自身が飲んでいる薬の名前、その目的・特徴・注意点を把握することで、不安解消と適切な治療につながります。不明点は一人で悩まず、必ず医師や薬剤師に相談してください。