2025.09.17
相談員ブログ
胃がんについて
胃がんとは、胃の内側にある粘膜の細胞が何らかの原因でがん化し、無秩序に増殖することで発生する病気です。【胃がんの発生と進行】
胃の壁は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)という複数の層で構成されています。胃がんはこのうち、一番内側の層である粘膜に発生します。がんが進行すると、外側の層へと深く入り込んでいきます。この深く入り込むことを医学用語で「浸潤(しんじゅん)」といいます。
がんが粘膜や粘膜下層にとどまっている状態を「早期胃がん」と呼び、粘膜下層を超えて固有筋層より深く達したものを「進行胃がん」と呼びます。早期胃がんは、リンパ節転移の有無にかかわらず「粘膜から粘膜下層にとどまる」ことで定義されます。早期であれば、条件を満たせば内視鏡的切除で根治が期待できる場合が多く、治る確率は高いとされています。一方、がんが漿膜を超え超えて広がると、腹膜にがんが散らばる「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」や、血流やリンパの流れに乗って肝・肺・骨など胃以外の臓器へ遠隔転移する可能性が高くなります。
【主な原因とリスク】
胃がん発症の最も主要な要因のひとつは、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染です。ピロリ菌は慢性的な胃炎を引き起こし、胃の粘膜を徐々に萎縮させます。この状態が何十年も続くことで、胃がんになるリスクが著しく高まります。近年、ピロリ菌の除菌治療は胃がんの発生リスクを低下させることが示されており、感染が確認された場合は除去が推奨されます。ただし、除菌してもリスクが完全にゼロになるわけではなく、すでに萎縮性胃炎や腸上皮仮性がある場合は内視鏡での経過観察が必要です。
その他のリスク要因としては、塩分の多い食事(特に食塩や塩蔵食品・燻製食品の多食)、喫煙(受動喫煙も含む)、家族歴、慢性萎縮性胃炎や腸上皮化生などの胃粘膜の変化が挙げられます。飲酒は胃がん全体に対する明確な増加リスクとしては一貫しない報告もあり、過度の飲酒は控えるのが望ましい、という位置づけです。
逆に、野菜や果物を多く摂取することは予防的に働く可能性がありますが、緑茶の胃がん予防効果は一貫して確立しているわけではありません。
【胃がんの症状】
胃がんの初期段階では特有の症状がほとんどありません。がんが進行しても無症状のケースはありますが、一般的には以下のような症状がみられます。
・胃の痛みや違和感、胸やけ
・吐き気、食欲不振
・がんからの出血による貧血や、黒い便(タール便)
これらの症状は、胃がんだけでなく、胃炎や胃潰瘍などでも起こりうるため、症状だけでは胃がんと断定することはできません。症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。進行胃がんになると、食べ物がつかえるような感覚や、急激な体重減少、吐血などの症状が現れることもあります。
【胃がんの組織型と特徴】
胃がんの多くは「腺がん」という組織型に分類されます。さらに、がん細胞の性質によって分化型(進行が比較的緩やか)と未分化型(進行が速い)に分けられます。
特に注意が必要なのが、「スキルス胃がん」です。これは未分化型がんの一種で、胃の壁全体に硬く広がりながら浸潤していくタイプです。表面の病変が小さくても、深部に大きく広がっていることが多いため、発見が遅れやすく、治療が難しい傾向があります。
【検診と予防】
胃がんは早期に発見し、治療を開始すれば治る確率が高い病気です。日本では胃がん検診が広く普及しており、定期的な検診のおかげで、早期発見・早期治療ににつながり、死亡率が減少しています。特に内視鏡検査(胃カメラ)は有効な検査方法です。自治体の対策型検診の対象年齢や実施間隔は地域で異なりますが、内視鏡検診は原則50歳以上が対象とされることが多く(要確認)、ピロリ菌感染歴がある人や家族暦がある人は医師と相談のうえ個別に早期からの内視鏡を検討します。
また、ピロリ菌感染の有無は、医療機関で簡単に調べることができます。もしピロリ菌に感染していることが分かれば、除菌治療を受けることで将来の胃がんリスクを下げられますが、リスクがゼロになるわけではありません(萎縮性胃炎や腸上皮化生が残る場合は内視鏡の継続が推奨されます)。
【まとめ】
胃がんは胃の粘膜から発生し、進行するにつれて周囲の組織や臓器に広がる疾患です。初期症状がほとんどないため、症状が出る前に検診を受けることによる早期発見が非常に重要です。また、ピロリ菌の対策や、塩分の摂り過ぎに注意するなどの生活習慣の見直しが、予防につながります。