2025.11.18
相談員ブログ
アテローム脳血栓性脳梗塞について
【アテローム血栓性脳梗塞とは】アテローム血栓性脳梗塞は、脳梗塞の主要なタイプの一つです。これは、主に首から脳に血液を送る比較的太い動脈(頸動脈や脳底動脈)の内壁に、コレステロールや脂肪分が蓄積してできる「アテローム(粥腫:じゅくしゅ)」という塊が生じることが原因で発生します。アテロームが血管を狭くし、最終的にそこで形成された血栓(血の塊)によって血管を詰まらせることで、脳細胞に血液が届かななくなり、細胞が壊死(梗塞)して発症します。
このアテロームの形成は動脈硬化の代表的な変化であり、血管が慢性的に硬く、もろく、狭くなっていく病態です。動脈硬化は加齢とともに進行しますが、生活習慣病の影響が非常に大きいため、若い世代にも起こり得る病態です。
【アテロームとは】
アテロームは、血液中の悪玉コレステロール(LDL)などが血管壁に入り込み、そこで炎症反応を起こしながら徐々に蓄積してできる、コブのような隆起です。
・血管の狭窄
アテロームが大きくなると、血液の通り道(血管内腔)が狭くなります。この状態を「狭窄」と呼び、血流が悪化して脳に血流が届きにくくなります。
・血栓の形成
最も危険なのは、アテロームの表面を覆っている膜(線維性被膜)が破れることです。膜が破れると、血管内で血液を固める反応が一気に活性化し、急速に血栓が形成されます。この血栓が血管を塞ぐと、アテローム血栓性脳梗塞が発症します。
これは、長年パイプに汚れがこびりつき、ある日その汚れが剥がれ落ちてパイプを詰まらせてしまうイメージに近いものです。
【見逃してはいけない緊急サイン】
脳梗塞の症状は、詰まった血管の場所によって異なりますが、突然現れるのが特徴です。
・運動機能の障害:片側の手足のしびれ、麻痺、力が入りにくい
・言語の障害:言葉が出にくい(失語)、ろれつが回らない(構音障害)
・顔面の麻痺:片側の顔がゆがむ、口角が下がる
・視覚の異常:物が二重に見える(複視)、急な視力低下
・平衡感覚の障害:激しいめまい、ふらつき、強い頭痛
これらの症状が数分から数時間で一時的に現れて消えることがあります。これが一過性脳虚血発作(TIA)です。症状が消えても「治癒」したわけではなく、本格的な脳梗塞の前兆である場合が多いため、速やかに専門医療機関を受診する必要があります。
【治癒と発症後の対処】
脳梗塞の症状に気づいた場合、できるだけ早い受診が命と後遺症を左右します。
・血栓溶解療法
発症から4.5時間以内という時間制限内で、血栓を溶かす点滴薬(t-PA)を使用し、血流の再開を目指します。
・血栓回収療法
カテーテルを使って、詰まった血栓を物理的に取り除く治療です。特に太い血管が詰まった場合に有効とされています。
治療後は、再発を防ぐために抗血小板薬、動脈硬化を抑制するコレステロール降下薬などの薬物療法を継続します。また、失われた機能の回復には早期からリハビリテーションが重要です。
【高齢者で増える理由】
アテローム血栓性脳梗塞は、高齢者に多く見られますが、生活習慣次第で若い方にも起こりうる脳梗塞です。
高齢者の場合は、
・血圧・血糖・コレステロールの調整が難しくなりやすい
・長年の生活習慣の影響が蓄積している
・血管自体が加齢で弱くなっている
といった要因が重なり、動脈硬化が進みやすくなることで発症リスクが高まります。
【予防策について】
アテローム血栓性脳梗塞の予防は、危険因子である生活習慣病をコントロールすることに尽きます。
・血圧・血糖・脂質の管理
高血圧、糖尿病、脂質異常症は、「脳梗塞の三大リスク」といえます。定期的な健康診断と、医師の指導に基づく治療が重要です。
・食生活の見直し
塩分と動物性脂肪を控え、野菜、魚、きのこ類なをバランスよく摂ることが動脈硬化予防につながります。
・禁煙と節酒
喫煙は動脈硬化を強力に促進します。禁煙は最も効果の高い予防策の一つです。
・適度な運動習慣
有酸素運動を中心に、継続して体を動かすことが、血管の柔軟性維持につながります。
日常的に自分の血管の状態を意識し、生活を整えることが、脳梗塞という重大な病気を防ぐ最大の力になります。
【まとめ】
アテローム血栓性脳梗塞は、血管の内側にできるアテロームが原因で起こる脳梗塞で、突然の半身麻痺や言語障害など多くの症状を引き起こします。症状が一時的に治まっても放置せず、迅速な受診が命や後遺症を防ぐポイントです。
予防は年齢を問わず、自分の血圧や血糖値、コレステロールの管理と、健康的な生活習慣を続けることが大切です。