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2025.11.25
相談員ブログ

イレウスについて

【イレウスとは何か】
イレウスは、腸の中を食べ物や消化液、ガスなどが通る動き(腸の蠕動運動:ぜんどううんどう)が何らかの理由で低下したり止まってしまい、内容物がスムーズに流れなくなる状態のことです。腸の中に内容物が溜まることで、腹痛、吐き気、腹部膨満感、排便や排ガスの減少といった症状が現れます。

【腸閉塞とは何か】
腸閉塞は、腸のどこかが物理的にふさがり、内容物が通れなくなる状態を指します。原因としては、腸のねじれ(腸軸捻転)、腫瘍、癒着(腸と腸、あるいは腸と腸壁がくっつくこと)などによる「詰まり」があります。つまり、腸閉塞は「腸の通り道がふさがれる」ことで起こる問題です。

【イレウスと腸閉塞の違い】
・イレウスは「腸の動きが弱まる・止まること(腸管麻痺)」を意味し、腸の通り道そのものは塞がっていない場合も多いです。
・腸閉塞は「物理的に腸管が塞がれた状態を指し、腸の通り道が閉じてしまっている状態です。
つまり、イレウスは広い意味で「腸の内容物が流れない状態」全般を指し、その中に腸閉塞(機械的イレウス)と、腸の動きが止まる麻痺性イレウスが含まれます。なお、日本では一般的に「イレウス=腸閉塞」とまとめて呼ばれることもあります。

【イレウスの種類】
・機械的イレウス(腸閉塞)
腸の中や外からの障害で腸の通り道が塞がり、内容物が通れなくなる状態。主な原因は手術後の癒着、腸のねじれ(腸軸捻転)、腫瘍、ヘルニアで腸が締め付けられる場合などがあります。
・麻痺性イレウス
腸の筋肉や神経が麻痺して腸の動きが止まり、物理的な閉塞はないものの通過が止まる状態。腹膜炎、感染症、薬剤(特に麻薬性鎮痛薬)などの炎症や、手術後に腸の機能低下などが原因となります。

【イレウス・腸閉塞の症状】
・腹痛:軽い痛みから始まることもありますが、絞扼性(こうやくせい:腸の血流が途絶える重症型)の場合は激しい痛みが現れることもあります。
・腹部膨満感:ガスや液体が溜まり、お腹が張ります。
・吐き気・嘔吐:溜まった内容物が逆流して起こります。
・排便・排ガスの停止:便やガスが出にくくなり、「急に出なくなる」という特徴があります。
特に、急な激しい腹痛や頻繁な嘔吐、お腹の異常な張りがある場合は、絞扼性イレウスの可能性もあり、一刻も早い医療機関の受診が必要です。

【高齢者とイレウスのリスク】
高齢者は、以下のような理由でイレウスが起こりやすくなります。
・脱水や全身状態の低下
全身状態が悪くなると、腸の動きが鈍くなりやすく(麻痺性イレウスの原因)、水分が不足すると腸の動きが悪くなります。体調不良時や夏場は特に注意が必要です。
・手術歴が多い
高齢になるほど過去に開腹手術を受けていることが多く、癒着による腸閉塞のリスクが高くなります。
・慢性便秘の悪化
硬い便が腸内で詰まる「糞便塞栓」が、腸閉塞の原因になることもあります。

これらの予防には、日頃から適度な水分補給、バランスの良い食事、規則的な排便習慣を保つことが大切です。

【短腸症候群(たんちょうしょうこうぐん)について】
イレウスが重症化し、壊死した腸管を広く切除せざるを得ない場合、短腸症候群となることがあります。
これは、小腸の長さが大きく減るために、栄養素や水分を十分に吸収できなくなる状態です。イレウスの治療(手術)が原因で起こり得る合併症の一つとして知られています。長期的な栄養管理(中心静脈栄養など)が必要となる場合があります。生活への影響は大きいため、継続的な医療サポートが重要です。

【治療の基本とまとめ】
イレウス・腸閉塞の治療は、原因や重症度によって異なります。
・保存的治療
軽度の場合や麻痺性イレウスに対して行われます。鼻から管を入れ、溜まったガスや液体を吸い出す「減圧」を行うことで、腸の負担を減らし、自然な回復を促します。点滴で水分・電解質の補正を行うことも重要です。
・手術
腸がねじれて血流が遮断されている絞扼性イレウス、腫瘍や癒着による閉塞が改善しない場合などは手術が必要になります。腸のねじれを戻す、癒着を切り離す、壊死した腸管を切除するなど、原因に応じた処置が行われます。

イレウスは、放置すると腸の壊死や穿孔(せんこう:穴があくこと)につながり、命にかかわる重篤な状態に進行する可能性があります。いつもと違う強い腹痛、吐き気、急な便秘、お腹の異常な張りを感じたら、「ただの胃腸炎だろう」と自己判断せず、すぐに医療機関を受診することが、早期回復への最も重要な一歩です。
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