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2026.01.28
相談員ブログ

40~64歳で介護保険が使える「16の特定疾病」とは?対象疾患の特徴と制度のしくみ

【65歳未満でも介護保険が使える病気がある?】

介護保険は「65歳から使うもの」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実は、40〜64歳でも条件を満たせば介護保険を利用できます。その条件となるのが、「16の特定疾病(とくていしっぺい)」です。

これは単なる例外措置ではなく、日本の介護保険制度の考え方をよく表している重要な仕組みでもあります。

【介護保険が“年齢”だけで決まらない理由】

介護保険は高齢者のための制度ですが、年齢だけを基準にしているわけではありません。
40代・50代でも、病気の影響で「高齢者と同じような生活の困難さ」を抱える人がいます。

・歩くのが難しくなる
・手足が思うように動かない
・記憶や判断力が低下する
・長期間、介助や見守りが必要になる

こうした状態を年齢だけで切り捨ててしまうと、支援の空白期間が生まれてしまいます。そこで国は、「加齢と深く関係し、長く介護が必要になる病気」を特定し、40〜64歳でも介護保険を使えるようにしました。それが16の特定疾病です。

【なぜ、この16種類なのか】

16疾病は、次のような共通点を持つ病気として選ばれています。

第一に、年齢を重ねるほど発症しやすいこと。
第二に、数か月で元に戻るような一時的な状態ではなく、3か月から6か月以上生活への支障が続くこと。
第三に、医学的な診断基準が明確で、「老化に伴う心身の変化」と似た状態を引き起こすこと。

国はこれらをまとめて、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」と定義しています。言い換えると、16疾病とは「若くして老いに似た状態を引き起こす病気」とも言えるのです。

【16疾病に共通する特徴】

16疾病には、次のような傾向があります。

・完治が難しい
・時間とともに進行しやすい
・日常生活動作(ADL)が長期にわたって低下する
・一時的ではなく、継続的な介護が必要になる

このため、医療だけでなく、介護サービスや生活支援が早期から重要になります。

【16の特定疾病の分類】
16の特定疾病には以下のように分類できます。

[よく知られている病気も含まれている]

16疾病というと、難病や珍しい病気ばかりを想像されがちですが、実際には多くの人が名前を聞いたことのある病気も含まれています。
代表的なのが、「末期がん」、「初老期における認知症」、そして「糖尿病の重い合併症(神経障害・腎症・網膜症)」です。

これらの病気は、治療を続けながら生活することはできても、「元の生活に完全に戻る」ことが難しいという共通点があります。痛みや倦怠感、視力障害、感覚障害、判断力の低下などが重なり、日常生活の中で介助や見守りが必要になる場面が増えていきます。

また、「脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患」では、命が助かった後に、片麻痺や言語障害、高次脳機能障害が残ることがあります。
見た目には回復したように見えても、「一人で安全に生活する」ことが難しくなり、介護が長期化するケースは少なくありません。

[「歩けなくなる」「動かしにくくなる」病気も多い]

16疾病には、歩行や体の動きに大きな影響を与える病気が数多く含まれています。
「関節リウマチ」、「骨折を伴う骨粗鬆症」、「脊柱管狭窄症」に加え、「後縦靭帯骨化症」や、「両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症」もその一つです。

これらの病気では、痛みやしびれ、可動域の制限により、歩行や立ち上がりが困難になります。短距離なら何とか動けても、長く歩けない、転倒のリスクが高いといった状態が続きます。

見た目は比較的若く元気に見えても、「安全に移動できない」「外出に強い不安がある」こと自体が、生活の自立を大きく妨げます。
そのため、部分的な介助や環境調整が必要となり、介護保険の対象とされているのです。

[徐々に体が動かなくなる神経・筋肉の病気]

「パーキンソン病」や「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」、「脊髄小脳変性症」に加え、「進行性核上性麻痺」、「大脳皮質基底核変性症」、「多系統萎縮症」といった神経難病も16疾病に含まれます。

これらの病気の特徴は、時間の経過とともに、体の動きやバランス、発話、飲み込みなどが少しずつ障害されていく点です。
特に「進行性核上性麻痺」では転倒が非常に多く、「大脳皮質基底核変性症」では左右差の強い動作障害が見られます。「多系統萎縮症」では、自律神経の障害により、立ちくらみや排尿障害なども生じます。

意識や理解力が比較的保たれることも多く、「分かっているのに体が動かない」状態が続くため、身体的な介護だけでなく心理的支援も重要になります。

[血流や呼吸の障害で生活が制限される病気]

「閉塞性動脈硬化症」は、足の血管が詰まることで血流が悪くなり、歩行時に強い痛みが出る病気です。進行すると安静時にも痛みが続き、皮膚が壊死することもあります。
長く歩けない、外出できないといった状態が続くことで、生活範囲が著しく狭くなります。

また、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」では、息切れや呼吸困難が慢性的に続きます。着替えや入浴といった日常動作でも呼吸が苦しくなり、常に介助や見守りが必要になる場合があります。

血流や呼吸といった「生命の基本機能」に関わる障害は、生活全体に影響を及ぼし、長期的な支援が欠かせません。

[実年齢より早く老化が進む病気もある]

16疾病の中には、「早老症(ウェルナー症候群など)」も含まれています。
これは、若い年齢にもかかわらず、白髪、白内障、動脈硬化、筋力低下など、老化に似た変化が全身に現れる病気です。

体の機能が年齢以上に低下するため、日常生活のさまざまな場面で介助が必要になりやすく、「高齢者と同じような生活の困難さ」を抱えることになります。

【16疾病を知ることの意味】

16疾病は、誰かを特別扱いするためのリストではありません。
「年齢だけで支援の線を引かない」という、日本の介護保険制度の姿勢を示すものです。

もし40〜64歳であっても、病気によって生活が大きく変わった場合、介護保険という選択肢があることを知っておくことは、本人だけでなく家族にとっても大きな支えになります。

介護は「高齢者だけの問題」ではありません。
16疾病は、そのことを静かに教えてくれる介護制度を理解するためのキーワードなのです。

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