2018.08.06
介護ニュース
介護保険の「世帯分離」は得か?損か?
介護保険を利用されている方なら、「世帯分離」することにより、介護保険の自己負担額を減らせる場合があることはご存知ですよね?住民票に登録されている1つの世帯を、2つ以上の世帯に分けるのが「世帯分離」です。介護保険料の自己負担額は所得に応じて決まるので、「世帯分離」を行い、高齢者のみの世帯とすると収入が少なくなるので、自己負担額も小さくなる、というわけです。
「世帯分離」は、同居している家族でも、生計が別であれば一般的に行われている手続きです。また、一時的に特養や老人ホームに入居している場合でも、住民票に記載されている住所に変わらずに居住していることになるため、手続きは可能。施設サービスを利用する人ほど、あるいは介護度の高い人ほど、「世帯分離」によるメリットは大きくなります。
ただし、役所で手続きを行う際、「介護保険の自己負担を減らしたいので」と言うと受け付けてもらえないこともあるそうなので、ご注意ください。住民票の手続きひとつで負担額が異なるという不公平をなくすためだと思われますが、逆に言えば、手続きひとつで自己負担額を減らせるのであれば、しない手はないですよね。知らない人は損しているかもしれませんよ。
このように、一般的には得をするケースが多い「世帯分離」ですが、場合によっては、「世帯分離」すると自己負担が割高になる、つまり損をするケースもある、ということはご留意ください。
たとえば、1世帯で2人以上が介護保険サービスを受けている場合、世帯全体で合算し、超過する部分については払い戻しを受けることができますが、世帯分離後は合算できなくなり、割高になることがあります。
また、国民健康保険料の場合、世帯が別になると、それぞれの世帯主が国民健康保険料を支払うことになるので、1人で支払っていた時に比べて割高になることがあります。会社の健康保険に加入していた場合も、組合の制度が利用できなくなります。
「世帯分離」の手続きを考えている人は、こうしたメリットやデメリットをよく検討したうえで、慎重に行いましょう。