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2019.12.17
介護ニュース

介護施設利用の自己負担、月額2万2千円増へ、低所得者最大30万人が対象

 2000年4月よりスタートした介護保険制度。増え続ける高齢者を社会全体で支えるため、原則65歳以上で、介護が必要と認められた人が利用できる、在宅や施設での食事や入浴の介助、リハビリなどのサービスを、国、地方の公費(税金)、40歳以上が支払う保険料、利用者の自己負担で賄おう、というものですが、じつはこれ、3年に1度、制度の見直しが行われていることはご存知でした?

 その3年に一度の介護保険制度改正案が昨16日、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会に示されました。それによると、一部の低所得高齢者が介護施設を利用する際の食費の自己負担を、月額2万2千円増やす、とのこと。対象者は最大30万に上る可能性があるといいますから、他人ごとではありません。

 特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、食費と部屋代が原則自己負担ですが、年収155万円以下の住民税非課税世帯のうち、単身世帯で預貯金や有価証券などの資産が1千万円以下の場合は補助を受けられます(補助額は収入に応じて決まり、自己負担額も異なる)。

 これまで、「年金収入等が80万円超」のケースでは、食費と部屋代を合わせた自己負担額は月約3万1千円でした。が、今回この収入区分を「80万円超120万円以下」と、「120万円超え」の2つに分けます。「80万円超120万円以下」の自己負担額は変更ありませんが、「120万円超」の場合は、食費で2万2千円を上乗せし、自己負担額を約5万3千円に。また、補助を受けられる預貯金などの資産要件も「1千万円以下」から「5百万円以下」に引き下げられます。

 介護サービス利用者は収入に応じて1~3割を自己負担しますが、医療費と同様に「高額介護サービス費」という仕組みがあるので、1カ月の自己負担額には上限があります。今回は高所得世帯の上限を見直し、現在の月4万4400円を、年収約770万円以上の世帯は9万3000円に、年収約1160万円以上の世帯は14万100円に引き上げられます。

 一方、現在利用者の9割超が占める自己負担1割を、一定の所得がある人を対象に2割への引き上げを検討してきましたが、これについては「生活に深刻な影響を与える」との批判を考慮し、制度改革には盛り込まれませんでした。さらに、同じく議題に上がっていた「ケアプランの有料化」や、「要介護1、2の生活援助サービスの市町村移行」も先送り。2021年度以降に導入される見込みなのは、先述の「特養などを利用する低所得者の自己負担増」と、「高所得者の自己負担上限の引き上げ」、ということで、社会保障審議会の部会が年末までに結論を出します。

 これまで優遇されてきた低所得者の自己負担が増え、高所得者にも自己負担上限の引き上げにより相応の負担を求めんとする今回の改正案。口さがない向きからはすでに崩壊している、とさえ陰口を叩かれている現在の介護保険制度を維持する、あるいは立て直すためには、必要な措置なんでしょう、きっと。

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