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2019.12.28
介護ニュース

厚労省、有料老人ホームやサ高住に「外部の目」取り入れ強化へ

 当介護ニュースの前々回で「高齢者への虐待、昨年度過去最高に」という記事を掲載しましたが、虐待をはじめ施設にとって不都合な真実は、多かれ少なかれ隠蔽されがちです。内部告発でもない限り表沙汰にはなりませんから、発表されている数字は氷山の一角で、実際にはもっと多いと思ったほうがいいでしょう。

 そうして施設にとって不都合な真実を明らかにするためには、やはり「外部の目」が必要だろう、ということで、厚生労働省は来年度より、急速に増加してきた有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの質の担保に向けて、「外部の目」を導入する取り組みの強化に乗り出します。

 その1つが、現場に出向いて利用者の声を聞く「介護相談員」の派遣を可能とする制度の改正です。入居者と施設との橋渡し役であり、入居者が不安や不満を抱えていれば、事業者との間に入りコミュニケーションをとって解消を図ったり、必要に応じて行政への通報や情報提供なども行う「介護相談員」は、一定の研修を受けた人などに市町村が委嘱する仕組み。地域の実情を踏まえて展開できる介護保険の任意事業の1つとして、現行の制度では特養や老健、グループホームなど、介護保険のスキームで運営されている施設・事業所に「介護相談員」を派遣できます。

そうした施設・事業所には、サービスの運営基準などで「介護相談員」の務めに協力する義務が課せられているので、事業者が「介護相談員」の受け入れを拒否するのは難しい、そうです。

 一方で、有料老人ホームやサ高住などは派遣先として十分に想定されておらず、真摯に対応する努力義務の規定もありません。ということで、厚労省ではこうした状態を改善し、有料老人ホームやサ高住の透明性を高め、入居者が不当な扱いを受けることがないように、現在、来年度に向けて通知などの改正を準備。すでに来年度の予算案などにも反映させている、といいます。

 また、市町村が人材確保にあたって財政支援を受けられるよう、介護サービスの整備などに使える基金(医療介護総合確保基金)の使徒のルールも見直し、あわせて、研修費の補助など「介護相談員」の確保につなげる投資に基金のリソースを割けるようにする計画だそう。

 2017年度のデータによると、「介護相談員」の人数は全国で役4300人。実際に派遣している市町村は全体の25%ほど。取り組みを浸透させて実効性を高めることが課題と指摘されています。施設の質を向上させるには「外部の目」は必要不可欠だと思いますので、こうした取り組みはどんどん進めていただきたいものです。
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