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2016年05月21日

働いて報酬を得るデイサービス「DAYS BLG!」(NPO法人町田市つながりの開)≪前編≫

東京都町田市にある「next (future) generation service DAYS BLG!」を取材。

 お探し介護ライターが実際に施設へ足を運んで、見て、聞いて、感じて、体験したことをありのままに報告する施設訪問レポート。今回は「DAYS BLG! (デイズ ビーエルジー!)」を訪ねました。
今回は長編になりましたので前編・後編でレポートを公開します。

■障害のある生活を、皆で感動的なものに!

 「DAYS BLG!」は、その名からは何の施設だかわからないかもしれませんが、通所介護施設、いわゆるデイサービスです。いわれてみれば、「DAYS」という文字がそれを表していますね。「BLG」はそれぞれ「Barriers」「Life」「Gathering」の頭文字。最後の「!」(感嘆符)は「Exclamation」を表します。

 その意味を勝手に解釈すれば、“障害のある生活を、皆で集まって、感動的なものにしよう”といったところでしょうか。ここでいう障害とは、ずばり「認知症」のことを指します。つまり「DAYS BLG!」は、認知症専門、とまで言い切ってしまっていいのかどうかはわかりませんが、認知症の人を積極的に受け入れ、認知症に対してのユニークな取り組みを行っているデイサービスなのです。

 これまで、この施設訪問レポートでは、訪問した施設はすべて老人ホーム、すなわち入居施設でした。しかし今回はじめて、入居施設ではない通所のデイサービスが登場したことに、あれ? と思われた方もおられるかもしれません。なぜ今回は老人ホームではなくデイザービスなのか? その理由もここにあります。認知症の人を積極的に受け入れている「DAYS BLG!」の活動が、大変ユニークであるという情報を聞きつけ、日頃から認知症に関心を持っているお探し介護ライターとしては、ぜひとも現場を見せていただきたい、ということで取材を申請し、晴れて今回、実現したというわけです。

■認知症を“自分事”として考えるとは?

 「DAYS BLG!」のリーフレットには、こう書かれています。

「認知症の当事者が言われる『生きづらい』ことや『生活しにくい』ことは、どういうものでしょうか。それは自らの意思とは関係なく、自ら望んでいない生活を余儀なくされること、また社会や環境が整備されていないことです。 でもそれは認知症に限らず、私たちにも当てはまることが多くあります。私たちは今まさに“認知症を自分事”として考え、一人ひとりが人生の主人公でいられるような社会や環境を創設していきます」

 いかがでしょうか。“認知症を自分事”として考え、というところが最大のポイントである、と私は感じましたが、皆さんはどう思いますか?「なるほど!」と膝を打ちたくなる一方で、今ひとつピンと来ない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。認知症は、認知症になった当人でさえ、そうとは意識していない場合が多いと聞きます。そんな認知症を自分のこととして捉えるとは一体、どういうことか。その答え、もしくはヒントとなるものもリーフレットの中で見つけることができます。

 まず、「DAYS BLG!」のコンセプトとして、「『ハブ機能』~社会とのつながり・地域での役割・一般大手企業との連携~といった活動を主な内容としてデイの場にハブ機能を持たせます」とあります。続けて、「『利用者から生活者へ』介護されるだけの存在ではなく、自らが主役となって、再び生活者=消費者となれるようサポート致します」と書かれています。こうしたコンセプトと、先述の“認知症を自分事”として捉えることを合わせて考えると、当施設の考え方というか、方針がなんとなくみえてくるような気がします。

■認知症であっても「社会とつながり」「地域での役割」を果たすために

認知症の当事者が「生きづらい」「生活しにくい」と感じるのは、社会や環境が整備されていないこともあって、自らの意思とは関係なく、自らが望んでいない生活を余儀なくされるから。では、認知症の当事者が「生きがい」を持って、「生き生きと生活できる」環境とはどんなものか? それは、認知症であっても「社会とつながり」、「地域での役割」を持つこと。認知症だからといって介護されるだけの存在ではなく、自らが主役となり、再び「生活者=消費者」となること。そのために、「DAYS BLG!」では、一般大手企業と連携するなどして、社会とつながり、地域での役割を果たすための“ハブ機能”をデイの場に持たせ、本人の“想い”を実現していこう、ということです。
ちなみにリーフレットには、『WHOの障害定義』として、「日本標準ではなく、世界基準を目指します」という文言もあります。もしかしたらこうした考え方のほうが世界基準なのかもしれませんね。
引用が多くて恐縮ですが、もう少し、リーフレットの文面を紹介します。

『next (future) generation service』
・メンバーは比較的若い人が多いです
・子供じみたことは行いません
・想いが実現できる場所
・新しいケアの考え
・福祉のイメージを変えます
・社会的チャレンジをしていきます

『5mission statement』私たちの活動は~
・あなたの活動でもあります
・大切な人の活動でもあります
・町づくり活動でもあります
・地域が成長する活動でもあります
・未来につながっています

東京都町田市成瀬台にあるDAYS BLG!
ウッドデッキ側から建物内に入る

デイサービスのあり方を根本的に変えていこうとしているデイサービス

具体的な活動内容はまだわからなくても、とにかく何か新しいことに挑戦していこう、というチャレンジ精神をビンビン感じますね。この中で、「子供じみたことは行いません」というのは、従来のデイサービスに対してのアンチテーゼだと推測します。というのは、業界内でも口の悪い人はこう言うんです。「今のデイサービスがやっていることなんて、ままごとみたいなもんだ」と(関係者の皆様、申し訳ありません。あくまで聞いた話ですのでご勘弁を)。そういう見方をされることあるデイサービスの在り方を、根本的に変えていこうとしているデイサービス、それが「DAYS BLG!」ではないでしょうか。

そのことと関係あるのかどうかは不明ですが、このリーフレットには、「デイサービス」という言葉は一切書かれていません。なので、この記事では便宜上、老人ホームなどと区別する意味合いで「DAYS BLG!」のことをデイサービスと称していますが、もしかしたらデイサービスではない、まったく新しい施設だという認識を持って、以降の記事を読んでいただいたほうがいいのかもしれません。

■「こどもの国」駅から約10分、成瀬台3丁目

 前置きが長くなりました。いざ直撃です。

 「DAYS BLG!」の住所は、町田市成瀬台3丁目。成瀬台といえば、JR横浜線の町田の隣に「成瀬」という駅がありますから、土地勘のある方であれば、だいたいあの辺だと見当がつくでしょう。しかし成瀬台でも3丁目となると、結構駅から遠く、歩いて行くのは無理そうです。交通手段としては、成瀬もしくは町田からバスかタクシーということになります。ただし、地図を見ると、「こどもの国」駅というのが近くにありますね。長津田から東急こどもの国線という2駅しかない路線が出ていて、その終点。最寄駅はそのこどもの国駅ということになり、そこから歩いて10分ほどの道のりのようです、地図上では。もっとも、取材当日はちょっと理由ありで、クルマ(自家用車)を使ったので、こどもの国駅からの距離感ですとか、長津田からの本数、バス停の位置などは確認できておらず、公共交通機関を使う場合の案内は今回省略させていただきます。申し訳ありません。

 ちなみに、成瀬台の西側には「玉川学園」駅というのもあって、玉川学園のキャンパスも近いようです。また、「こどもの国」の隣には、テレビ番組の野外撮影などによく使われる「緑山スタジオ」なんかもあります。いずれも広大な敷地を要する施設が周辺にあるということで、町田という大きな街の近くにしては自然が豊かな、暮らしやすい土地柄であることが想像できます。

■利用者もスタッフも分け隔てなく、すべてが「メンバー」

 ということで、町田からクルマで大体10分程度でしょうか。成瀬台という大きな住宅街の一角にある「DAYS BLG!」に到着です。建物は普通の民家を借り切っているようで、外観からはまずデイサービスとはわかりません。看板も小さく控えめです。これは予め調べておかないと辿り着けないでしょうね。

 一般の民家と変わりない門を開けると、そのまま庭につながっていて、玄関ではなく庭から屋内へ。途中、「だがしやさん」という看板が掲げてあります。駄菓子も売っているのでしょうか。まあ、それは後で聞くとして、庭から直接お邪魔すると、ちょうど、朝礼というか、朝のミーティングがはじまったところでした。

 本日のメンバー(ここでは利用者もスタッフも分け隔てなく、すべてメンバーと呼びます)は、12名ほど。それに加えて、私たちお探し介護の取材者2名と、他の施設からの視察1名(やはり注目されていますね)の部外者がいましたので、最初に軽く自己紹介をした後、いよいよ本日の活動内容の打ち合わせです。その様子は、まったくもって、通常のデイサービスとは全然異なるものでした。通常のデイサービスがどんなふうにやっているかは詳しくは知りませんが、それでも、全然違うんだろうな、と確信できます。

 まずはメンバーの1人(多分、スタッフさんだと思いますが、利用者との区別がつかないので、一応こう表記します)が本日の業務を発表します。

「今日はホンダがありますので、ホンダへ行くチーム(以下、外チーム)と、BLG ! の中ではたらくチーム(以下、中チーム)に分かれます。ホンダへ行かれる人は?」

 すると手を挙げたのは5名。ホンダというのは、クルマのディーラーのことで、つまり洗車の仕事です。中チームの業務としては、本日はコーヒー豆挽き、リンゴの皮むき、書類整理などがあるようです。続いて、一人ひとりに今日の昼食は外食にするか、中(BLG内)で食べるかを確認します。外チームが外食で、中チームが内食と決まっているわけではなく、外チームでホンダへ行った後、戻ってきて中で食べるという人もいますし、その逆もいるようです。

デイサービスのあり方を根本的に変えていこうとしているデイサービス
DAYS BLG!からホンダに向かうため駐車場に向かうメンバー
デイサービスのあり方を根本的に変えていこうとしているデイサービス
駐車場で車に乗り込むメンバー

メンバーの意思を尊重し、メンバー本人の意思で“選択”

注目すべきポイントは、業務も食事も、すべてメンバー本人が、自分の意思で“選択”していること。これについて、「DAYS BLG!」の前田隆行所長がこう言っています。

「日常の生活って、通常は“選択”の連続だと思うんですよ。朝起きたら、まず何をしよう、とか、何を食べよう、とか、日々何かを無意識に“選択”しながら生きていくのが当たり前の姿です。ところが、認知症になってしまうと、選択の幅がある程度限られてくるのは仕方がないにしても、今の世の中では、ほとんど本人に選択の余地は与えられません。本人の意思とは関係なく、物事が進められてしまいます。それどころか、本人が望まないことを強制的にさせられる場合だってありますよね。

 それではいけないと思いまして、ここではあらゆる場面で、できる限りの“選択肢”を持っていただくようして、メンバー本人の意思で選んでもらいます。本人がやりたい、と思うことをやっていただき、やりたくないことはやらなくていい。それがここのモットーといいますか、基本的なスタイルです」

 なるほど。確かにこうした施設では、スケジュールや食事などの行程はすべて施設側であらかじめ決めておいて、利用者はそれに従う、というのが通常です。しかしそれはあくまで施設の都合であって、利用者が望むものではない、というケースが多いことは想像できますよね。

たとえばあるデイサービスでは、朝お風呂に入って、お昼ご飯を食べたら眠たくなって昼寝する。すると夜寝られなくなり、薬を飲んで無理やり眠らされる。「デイサービスへ行くことによって、生活のリズムが崩れてしまう、という人も多いんです」と前田さん。

 その点、ここ「DAYS BLG!」では、その日やることにいくつかの選択肢がありますから、その日の体調や気分に合わせて選ぶことができます。これ、普通に考えても大変良いことだと思いますが、もっと言えば、それを認知症当事者に対しても実施していることに、ものすごく大きな意味があるのではないでしょうか。気が向いたらやりたいことをやればいいし、逆にやりたくないことはやらなくていいわけですから、すべてが自分のペース。食事にしても、まず、外食か内食かを選べるということからして画期的ですが、さらに、外食組は外食組で、「今日はどこへ行こうか?」なんて話を皆でしていましたし、内食組に対しても、「今日は○○のお弁当でいいですよね?」といった確認をしてくれますから、その日食べたいものを食べることができる自由度は、他の施設と比べると飛び抜けて高いのは間違いないでしょう。

これなら生活のリズムを崩すこともないし、不愉快な気分になることもなさそうです。なにより、メンバー同士で、「今日は何食べようか?」なんて話している様子が楽しそうです。実際、取材当日の朝礼も、スタッフの説明を聞いているだけではなく、メンバーのそれぞれが積極的に発言をしていて、その雰囲気はまるで何かの趣味のサークルのよう。とても認知症当事者を含めたデイサービスの朝礼とは思えません。こうした雰囲気もぜひ、参考にしていただきたいものです。

■通所希望者に対しての面接も、メンバーが自ら担当

 こうして朝礼は終了。「さあ、今日も頑張りましょう!」と、皆でエイ、エイ、オー!と掛け声をかけ、それぞれの仕事へ出発です。ホンダへ行く人は、「HONDA」のロゴが入った専用のジャンパーが用意してあり、それを着て出かけます。私たち取材陣もそのジャンパーをお借りして、ホンダまで同行させてもらうことになりました。

 と、ここでもう一つ、注目すべきというか、ビックリしたことがあります。朝礼での自己紹介のとき、「今日は体験入所に来ました」という入所希望者がおられたのですが、その方に対しての面接を、メンバーの1人が行っていたんです。スタッフではなく、利用者のメンバーが、ですよ。すごくないですか? これは、施設の運営に、利用者であるメンバーたちも自ら積極的に参加していることの表れでしょうね。先ほど、メンバーの意思を尊重するのがここのモットーであるというような話をしましたが、ここまで徹底しているとは驚きです。ただ単に入所して、言われただけをやって時間を過ごすデイサービスとは明らかに一線を画しています。

 では、ホンダ組は家を出て、少し離れた駐車場へ。ホンダへ行くから、というわけかどうかわかりませんが、ホンダのミニバンに乗り込みます。ちなみに、これは後で調べて分かったことで、取材当日は知らなかったので写真は撮れなかったのですが、「DAYS BLG!」では送迎車として、スポーツタイプのBMWも持っているそうです。
「認知症や高齢になってクルマの運転ができなくなった方に、乗っていて楽しいクルマ、乗りたいと思えるクルマに乗ってほしい」という思いからだそうですが、確かに、クルマが好きな人はうれしいですよね。色んなところで型破りなデイサービスです。

もっとも、そのとき駐車場にBMWが停まっていたという覚えはないので、もしかしたら現在は手放してしまったのかもしれません。興味のある人は直接施設へお尋ねください。

■「他のデイサービスとは何から何までまったく違います」(新しく入ったスタッフ)

 ホンダまでの道のりは、10~15分ほどでしょうか。意外と遠いです。聞くところによると、「DAYS BLG!」が引越して今の住所に移る前、町田市金森にあった頃は、ほんとにすぐ近くだったとか。なるほど、その頃に近所ということで仕事をいただくようになったんでしょうね。で、引っ越して不便になったというわけですが、まあ、クルマで15分程度だったら全然問題はないでしょう。

そんな話をしてくれたのは、運転していたメンバーだけどスタッフの女性の方。なんでも他の施設から移ってきて間もないそうで、「ここは他のデイサービスとは何から何までまったく違いますよ。私もメンバーさんに教えられることばかりです」と言います。

新しく入ってくる人には、利用者もスタッフも関係なく、従来のメンバーさんが色々と教えてくれるようで、いいですよねえ、そういう空気があるのは。

「だから私が皆さんのお世話するというより、皆さんに私が助けてもらっているんですよ」と笑うスタッフ。すると他のメンバーの1人から、「それはあなたの人柄がいいから、みんな助けてあげたくなるんだよ」なんてフォローが入ったりして。そうした会話を聞いているだけでも、ここには利用者とスタッフという区別があまりないことが感じられます。謳い文句ではなく、本当に利用者もスタッフも分け隔てなく、みんなで盛り上げていこうとしている様子が垣間見えて、ちょっと感動してしまいました。

長くなりましたが前篇はこちらで終わりです。後編ではいよいよHonda Cars東京中央に到着して洗車の作業にかかります。

メンバーの意思を尊重し、メンバー本人の意思で“選択”
所の子供たちが相手の「駄菓子屋」も経営

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