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2024.05.27
相談員ブログ

せん妄について

【せん妄とは】
せん妄とは病名ではなく、意識障害の一種で、錯乱状態を総称する言葉として用いられることが多いです。
病気や薬剤、アルコール中毒の離脱、脳の疾患など何らかの理由で、注意力や思考能力が低下して、見当識障害などがあらわれます。
一般病院の入院患者の10~30%にせん妄が発症すると言われ、決して珍しい病気ではありません。
特に高齢者に発症することが多く、入院や手術の影響で、幻覚や興奮などが生じたり、つじつまの合わない話をしたりします。
通常は継続しても数日間ですが、まれに数か月も続くこともあります。
一日の中でも強弱があり、夕方に悪化する傾向が見られます。

【せん妄の症状】
せん妄の症状には以下のようなものがあります。
・注意の障害
一つのことに注意し続けられなくなったり、意識レベルが低下した状態になることがあります。
・思考力の低下
思考力が低下するため、考えがまとまらなかったり、ぼんやりとしてしまいます。
・睡眠・覚醒リズムの障害
日中は半分覚醒していないような状態であったり、一方睡眠時は落ち着きがなくなるなど、不眠、昼夜逆転などが見られます。
・幻覚や妄想
実際にはいないものが見える幻覚や幻視があったり、記憶や経験が本来の出来事と違って捉えてしまう妄想などが見られます。
・認知機能の障害
今いる場所や時間が理解できなくなり、自分のことがわからなくなることもあります。
・感情の障害
不安になったり興奮したりして、感情の起伏が起こったり、内向的な人が攻撃的になったりと、人格に変化が生じたりします。

【せん妄の原因】
せん妄の原因は多岐に及びますが、以下の3つに分類することができます。
・準備因子
高齢であることや脳血管障害の疾患などによる認知機能の低下があげられます。
高齢者の場合、若年では影響を受けない疾患や、入院でもせん妄の原因となります。
また、高齢者は体に負荷がかかるほど、せん妄が起きやすいことも判明しています。
・直接因子
病気(心不全や不整脈、低酸素や肺炎、ホルモン代謝異常など)、薬、手術やアルコールの離脱があげられます。
また、長期間服用していた薬をやめた場合にも、せん妄が発症することがあります。
・促進因子
睡眠妨害や、激しい痛みや過度なストレス、環境の変化や不安などが考えられます。
騒音問題、転居、身近な人の不幸などの心理的ストレスも、せん妄の発症原因となることがあります。

せん妄発症は火事に例えられることが往々にしてあります。
準備因子が木材、直接因子がマッチ、促進因子が油です。

【せん妄の種類】
・過活動せん妄
イライラしたり興奮して落ち着かなかったり、幻覚、幻想が出現します。また不眠症状も生じます。
認知症と間違えられたりします。
・低活動せん妄
無気力、無反応、無表情などの症状が見られます。日にち、周囲の人、自分のことがわからなくなる見当識障害が発症します。
うつ病と間違われたりします。
・混合型せん妄
上記の過活動と低活動が両方混在します。

【せん妄と認知症の違い】
せん妄と認知症はよく似ていますが、全く異なる病態で、以下のような相違点があげられています。
・一過性か否か
せん妄は突然発症して、数時間から数週間にわたって症状が続きますが、時間が経過すると症状が変化していきます。
また、正常な精神状態とせん妄状態を繰り返すこともあります。
一方、認知症は損なわれた機能は回復することはなく、進行していくのが一般的です。
・意識と記憶の違い
せん妄の症状の中心は「意識の障害」で、注意力に障害が起こることが特徴です。
それに対して認知症の症状の中心は「記憶の障害」です。
・発症時期の違い
せん妄は発症時期は明確に特定できますが、認知症は徐々に進行していくので特定するのが不明確になります。
・治癒することの可能性
せん妄は原因になっている病気や因子が改善されることで、症状は良くなりますが、認知症は病因を取り除き、症状が良くなることは難しいです。
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