2015.06.09
介護ニュース
警視庁、認知症男性を公園に放置

見出しは「警視庁、認知症男性を公園に放置」とあり、本文はこう続きます。
「警視庁が5月、介護施設を抜け出した跡、保護された70代男性を、認知症とは気付かず東京都板橋区の公園に置き去りにしていたことが4日、分かった」。
えっ!?なんてひどいことを、と思いますよね。しかし、よくよく読むと、警察官に認知症の知識がなければ仕方がない状況だったかもしれず、一方的にこの警察官に非があるとは決めつけられないようです。続きを読んでみましょう。
「警視庁によると、5月29日早朝、介護施設から『男性がいなくなった』と110番があった。男性はその後、東京都北区の路上で倒れているのが見つかり、救急隊が病院に搬送した。
病院から男性を引き渡された警察官は、通報があった男性とは気付かず、病院から伝えられた住所までパトカーで送った。だが居住地ではないことが判明し、男性が『この辺を知っている』と話したため、板橋区内の公園で降ろしたという」。
ここで警察官が犯したミスは2つです。1つは、通報があった男性とは気がつかなかったこと。もう1つは、男性が「認知症」であることを見抜けなかったこと。そして、1つ目のミスに関しては、その警察官だけの責任ではありませんよね。病院が伝え忘れたのかもしれないし、警察の方で確認できなかったかもれないし。いずれも組織としてのミスですから、警察官個人ではなく、組織として、警察と病院との連携をしっかりとって、今後はこういうことないようにしてもらいたい、というぐらいしかありません。
問題は2つ目のミスです。もし警察官が、その男性が通報のあった認知症の患者であることを知らなかったとしても、男性の様子から認知症であることを察知できれば、防げたはずです。しかし、気が付かなかったということは、認知症に対する知識がなかった、と推測できます。
たとえ認知症に対する知識がなかったとしても、男性の「この辺を知っている」という言葉をうっかり信じ、降ろしてしまったのはまずい、という意見もあるでしょう。家族からすれば、そんな言葉を信じず、きちんと住所を確認し、そこまでちゃんと送り届けるのが仕事だろう、と文句を言いたくなる気持ちはわかります。
でも、ですよ。あなたならどうしますか? その男性が、どこも変わった様子がなく、言葉使いもしっかりしていて、普通に「この辺は知っているから大丈夫です。自分で帰れます。降ろしてください」などと言われたら、その通りにしてあげるのが普通ではないでしょうか。それとも、普通に話すことができる男性が認知症であることを見抜ける自信がありますか?
認知症の介護の難しさがここにある、と私は思います。認知症は、日や時間によって出たり出なかったりしますから、その人が認知症かどうかの判断が非常に困難なのです。初対面の人ならなおさらわからないですよね。
ですから、この警察官に「なぜ認知症を見抜けなかったか」と責めるのは酷というものでしょう。対処するとしたら、こういうケースに備え、警察官も認知症に対する知識を持つこと、でしょうか。そして、それは警察官だけでなく、その地域に住むすべての住民に言えることなのです。認知症は家族だけの問題ではありません。地域全体で考えるべき問題です。これからの時代、一人ひとりが認知症に対する知識や関心を持ち、地域の中に認知症の可能性がある人がいたら、徘徊のときの保護をはじめ、地域ぐるみでケアしていくことが大事になってくると、この記事を読んで考えました。