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2018.12.19
介護ニュース

「徘徊」→「ひとり歩き」?認知症に関する“言い換え”は是か非か?

 「認知症」という言葉は今でこそすっかり定着した感がありますが、これは自然にそうなったわけではありません。かつては「痴呆」などと呼ばれていたものを、それは侮蔑的な言葉だということで、厚生労働者が2004年、公募などを通じて「認知症」へと変更、つまり“言い換え”た、という経緯があります。

 そして現在、同様に、認知症の人の「徘徊」を“言い換え”る自治体が増えています。その先駆けとされるのは福岡県大牟田市。同市は2015年度、「安心して徘徊できるまち」というスローガンを、「安心して外出できるまち」へと“言い換え”ました。同年度に兵庫県が、16年度には東京都国立市と鳥取県米子市が、18年度には愛知県大府市と兵庫県川西市が同じく「徘徊」の使用を止め、「外出中に行方不明になる」「ひとり歩きで道に迷う」などと“言い換え”ています。

 さらに、鳥取市が今年7月、「認知症の人には散歩や買い物など外出の目的があり、記憶違いで迷ってしまうだけ。徘徊では意味が違うし、誤解や偏見を招く」との市の保健師による問題提起を受け、原則的に公文書で「徘徊」という言葉を使用しないことを決定。検討の結果、「ひとり歩き」などに改めました。

 一方、認知症の行方不明者は増え続けていることから、「徘徊」という言葉には事故につながりかねない急なニュアンスが定着しているとして、“言い換え”を躊躇する自治体も少なくありません。青森県十和田市では、認知症の行方不明者の早期発見・保護対策の事業名に「徘徊」を使い、周知もしています。同市は、「散歩」や「ひとり歩き」も検討したが、「『徘徊』のほうが行方不明者だと市民に緊急性が伝わる」(担当者)と説明。『ひとり歩き』では、本人の状況を軽くとらえている感じで、かえって危険にさらすことになるのでは、といった声も聞かれます。

 たしかに、言葉ひとつで瞬時に伝わるイメージは絶対にあって、それはただ“言い換える”だけで大きく違ってきますから、これはなかなか難しい、大事な問題です。厚労省では、「痴呆」を「認知症」へ変更したときと同様の“言い換え”の予定はない、としていますが、近年、文書や口頭で「ひとり歩き」を使っており、「自治体などの動きを注視している」(認知症施策推進室)といいます。さてさて、どうなることやら。ですが、皆さんもこれを機に、“言い換え”について、考えてみてはいがかでしょうか。
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