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2019年03月18日

介護付有料老人ホーム「もみの樹 渋谷本町」 (大和ハウスライフサポート株式会社)《後編》

5階屋上庭園や新宿都心を展望するメインダイニングで『日々是好日』

 お探し介護ライターが実際に施設へ足を運んで、見て、聞いて、体験して、感じたままを報告する施設訪問レポート。介護付有料老人ホーム「もみの樹 渋谷本町」の後編です。


 大和ハウス・グループが運営する「もみの樹」シリーズの中でも、大和ハウスが自社で一から手掛けた施設としては初となる(他の施設は経営譲渡なので)「もみの樹 渋谷本町」。その1階エントランスホールは、人と逢える場を大切にしたい、との思いから、大和ハウスが推進する“共創共生”を目指し、地域住民と入居者が交流する場として設けられた“地域交流スペース”でもあること。『我逢人』という中澤希水の書にその志が込められていること。そして1階には居室もあり、自立度の高い方を対象としたフロアであること。などを前編で述べました。

 続いて2階、じゃなくて、いきなり最上階へ。なぜならメインダイニングが最上階の5階にあるから、なんですが、ここがまた、いいっすねえ。南へ開けた眺望と、日当たり良好な全面ガラス張りのダイニング。日中は空を、夜には新宿副都心方向の夜景が望めます。と、パンフレットにあって、その通りの明るさ、開放感、居心地の良さ。それに加えて、個人的には、テーブルや椅子、ソファに装飾品が置かれたチェスト?が気に入りましたね。

デザイン的にいうと、全館のコンセプトに沿った“和風モダン”なんですが、1階とはまたちょっと違った雰囲気で、1階がサロンのイメージとしたら、5階ダイニングは、なんとなく、ですが、富裕層が集う会員制クラブのような、そんなイメージ。かえってわかりずらいかな? でも、実際に見ていただければ、私だけじゃなく、大抵の人がお気に召すと思いますよ。

 そんな洒落たテーブルやソファが十分な間隔をとって並べられていて、さらに、ホワイトボードやピアノ(電子オルガン?)をぐるっと囲むように椅子を置けるスペースもあって、取材当日はたまたま音楽療法をやっていたんですが、スペースにも心にも余裕たっぷり。音楽療法がとても老人ホームのアクティビティには見えません。まるで富裕層のお楽しみ会、といった空気さえ漂っていた、とは言い過ぎでしょうか。

 5階・最上階には居室はなく、すべて共有スペースとなっており、メインダイニングから外へ出れば、屋上緑化したテラスにウッドデッキ。昼は日向ぼっこ、夜は煌めく新宿副都心の夜景を堪能できます。キレイに整えられた緑地ではガーデニングなども計画中だそう。

 そのウッドデッキに、サンルーフのように張り出しているのが、機能訓練スペース。つまり、屋上庭園やその先に開けた眺望を眺めながら、マシン・トレーニングができちゃう、というわけ。これなら体を動かすのがあまり好きではないという人でも、やる気が出ることうけあいです。

 このように、ここ「もみの樹 渋谷本町」では、トレーニング用のマシンを機能訓練室などに1カ所にまとめたりせず、館内のあちこちにさりげなく置いて、日常生活の中で自然に、気が向いたらいつでも、気軽にトレーニングできるようにしています。と聞いて、なるほどなあ、と思いましたね。もしかしたら、ここへ来ればマシン・トレーニングに対する考え方が変わるかも?

 ちなみに、そうしたトレーニング用マシンの中には、「POPO」という吊り下げ式歩行器もあります。その詳細について説明しだすと長くなるので割愛しますが、これを導入している施設は珍しいという最先端マシン。興味のある方はぜひご自身で調べてください。

 もう一つちなみに言うと、5階には理美容室もあり、非常階段もあります。ん?非常階段があるのは当たり前だろう、と思った方、あまーい(笑)。非常階段は、非常時に使うもので、普段は使わない、のが普通ですが、ここではなんと、非常階段もトレーニングの場として使っているんです。たしかに、階段の上り下りはいい運動になりますからねえ。

 それも、日常生活の中に運動を取り入れていく、という考え方の1つでしょう。館内のあちらこちらに最新式も含むマシンが置いてあり、非常階段でも運動して、なんだかいやでも健康になりそうです。

 そんな5階共有スペースに掲げられた、中澤希水による書額が『日々是好日』。これはご存知の方も多いでしょう。「明日と云う時があるとは限らない。この一瞬を大事にしましょう」という意味の禅語。平安で無事の日々を過ごすだけではなく、主体的に充実した時をお支えするスタッフの決意もこの言葉に込められています。

 新宿都心の展望を眺めながら食事を楽しめるメインダイニングや屋上庭園のウッドデッキ、見晴らしの良い機能訓練スペースでマシン運動、非常階段でもトレーニング、そして理美容室も備えた5階で『日々是好日』。これが「もみの樹 渋谷本町」での暮らしです。

5階メインダイニングに掲げられた「日々是好日」の書額。
メインダイニングでは音楽療法などのアクティビティも実施。
屋上庭園。グリーンを配したテラスにウッドデッキも、

「リハビリ」「食事」「入浴」、3つの“選べる”楽しさを大切に

 で、余談ですが、先ほどの5階機能訓練スペースに若い女性がいまして、俵山さんが紹介してくれたところによると、専属のST(言語聴覚士)とのこと。ですが、「お、カワイイ!写真撮らせて!!」と、スケベ面下げてお願いしたら、逃げられてしまいました。残念(笑)。

 要するに取材拒否されたわけですが、後でもらった資料をみると、そのコが顔写真付きで載っているじゃないですか。これはもう、本人は嫌でも、会社的にはOK!だと勝手に解釈して(笑)、紹介しちゃいましょう。と思ったら、後で本社からNGが出ちゃいましたので、顔写真なしのイニシャルですいません。「もみの樹 渋谷本町」担当ST・Sさんです。毎週木・金曜勤務。ほんと、可愛いので、逢いたい方はぜひ、同施設まで足を運んでみてください。

 その資料にはSさんとともに、OT(作業療法士)の吉田圭さん、PT(理学療法士)の中村良一さんも紹介されていて、この3人(中村さんは本社勤務のようですが)を中心としたリハビリ専門スタッフによるリハビリテーションも同施設の大きな特長の一つ。

 その中でもとくに、恐らくSさんがSTとして重要な役割を果たしているんだと思いますが、「口腔・嚥下機能向上アクティビティプログラム」は大注目! これは「美味しくご飯を召し上がって頂くため、おしゃべりを楽しんで頂くため、お口の元気を向上させていただきます」ということで、簡単にいえばお口のリハビリですね。

 このプログラムがものすごい評判で、嚥下困難などで口から食べ物を摂取できなかったり、流動食しか食べられない方などが、此処へ来て再び、元気な頃と同じように、食べることを楽しめるようになった、という事例もあるそうです。

 なんか、その喜びは想像できますよね。食べることは人生の楽しみのひとつ。その楽しみを奪われた人が、再び食べることを楽しめるようになったら――まさに、涙なくしては語れない感動でしょう。その感動を何人もの方々に、Sさんたちリハビリ専門スタッフがもたらしている、というわけですから、つくづく頭が下がります。

 リハビリについてもう少し。「もみの樹 渋谷本町」のリハビリは、2~3人で行う「キープアップウィズリハビリ」(週3回)、1人で行う「プライベートリハビリ」(週1回)、そして、初台リハビリテーション病院との業務提携による「外部リハビリ」の3つの中から、自分に合った好きなリハビリを選べます。

 内容はいずれも寝返り・起き上がり・座位確保・立ち上がりといった起居動作、車椅子への移乗動作や歩き方・杖の使い方等の移動動作、食事動作、洗顔・歯磨き等の整容動作、更衣動作、トイレ動作などなど、日々の生活場面の中での動作の指導。つまり生活に密着したリハビリ、略して“生活リハビリ”というわけですが、それを自分に合ったやり方が選べる、というのはいいですよね。

 この“選べる”サービスというのも同施設の特徴で、「リハビリ」だけでなく、「食事」と「入浴」においても“選ぶ”楽しさを大切にしています。

 朝食は、和食・洋食の2種から選べ、洋食はパン4種類から2個、またはパン粥を選択可。
 昼食は、品数豊富で新鮮なお魚や馴染みのある副菜御膳、胃に優しいおそばやおうどん御膳、そして毎週季節の旬の食材を使用したアラカルトメニューから選択可(当日の9時までに要予約)。加えて、週1のおまかせランチ(1品多い)や月1のランチバイキング(和食・洋食)も実施。
 夕食は、お魚・お肉・季節の御膳のメイン料理3種類から選択可(当日の14時までに要予約)。その他、飲茶やスイーツバイキング、折々の行事に合わせたおせち懐石などのメニューも用意。もちろん、体調に合わせた治療食や嚥下食等にも対応します。

 食事については、選べるのはいいけど、肝心の味はどうか?と気になる人のために、ちゃーんと試食もさせていただきましたよー。けど、その話はもったいつけて(笑)、後回しに。

 お風呂は、「自立ユニットバス」「和風ひのき」「介護浴槽」「寝台浴槽」「車椅子対応リフト付き」の5タイプから身体の状態に合わせて選べます。こりゃお風呂好きにはたまりませんね。とくにヒノキ香る「和風ひのき」風呂なんか、オレも入りてえ!

「リハビリ」「食事」「入浴」、3つの“選べる”楽しさを大切に
5階の機能訓練スペース。新宿都心の眺望を眺めながらマシントレーニング。
「リハビリ」「食事」「入浴」、3つの“選べる”楽しさを大切に
吊り下げ式歩行器「POPO」。腰に負担をかけずに歩行訓練ができる。
「リハビリ」「食事」「入浴」、3つの“選べる”楽しさを大切に
テーブルの周囲にさりげなく配置されたマシンや平行棒。日常生活の中でトレーニング。

道場六三郎名誉顧問「大京会」所属の料理長が腕をふるう食事に感動

 さて、いよいよお待ちかねの試食ターイム!と思いきや、まだ紹介してないフロアがあるので、そちらをお先に。

 4階は軽介護度の方を対象としたフロアで、書額は『誉生』。輝かしく、誉れ高い、名誉ある生、という意味の造語で、森村誠一著『煌く誉生』からの引用だそう。ご入居者に『誉生』を送っていただきたい、との思いを込めた、癒し、そして穏やかな気分を与える紫色系をあしらったフロアです。「和風ひのき」風呂や、様々なアクティビティが行われる明るいラウンジもこのフロアにあります。

 3階は、日本の伝統食である木蘭色をあしらった、中重度の方を対象としたフロア。ラウンジ兼機能訓練スペースで機能訓練やアクテビティを取り入れた生活を楽しめます。

 2階は、煉瓦色をあしらった、医療処置を必要とされる方を対象としたフロア。書額は『把手共行』。「共に手を取り合って行こう」という意味の禅語で、入居者、家族、スタッフ、地域の方、ホームに関わるすべての方々と、共に手を取り合い、入居者の人生最後のステージを支えたい、との思いが込められています。

 取材当日、その2~3階を見て回っていると、ちょうどおやつの時間らしく、スタッフがワゴンにデザートをたくさん載せて各部屋を訪室していました。その様子はまるで、というか、そのまんまルームサービス。いや、こんなことまでやるんだ、と感心しました。手作りだというデザートも美味しそうでしたよ。それは食べなかったけど。

 というわけで、お待たせしました、試食です。この日のメニューは、キンメダイの塩麹焼き、切り干し大根煮、あさりと分葱の酢味噌、ブロッコリーのクルミ和え、炊き込みご飯、お吸い物。まずはお吸い物を一口、すすって「おお、ナンダコレハ」と思いましたね。

 明らかに、そんじょそこらのお吸い物とは違う、上品かつ滋味深く、高貴にして華やか。いや、いうても私、味覚に自信があるわけじゃないですよ。どちらかといえば味音痴の部類に入ると自覚しておりますが、そんな私でも違いがはっきり分かったのですから、よっぽど旨いんだと思います。続いていただいた炊き込みご飯も、キンメダイも、小鉢も、あまりに旨くてあっという間に食べてしまいました。

 もしかしたら、過去取材した中ではナンバー1、というと、色々差し障りありそうなので断言はしませんが、トップレベルであることは間違いない。それぐらい旨かった。感動した、と言ってもいいぐらい、旨かった。

 この旨さは一体ナンダ?と思ったら、その答えも資料にちゃんとありました。要するに、ここの料理長がすごいんです。町田和郎さんという方なんですが、プロフィールにはこうあります。道場六三郎を名誉顧問とする「大京会」に所属。主に全国に展開する国際ホテルグループで和食料理の30数年従事。近年では横浜国際ホテル、新横浜国際ホテルにて立ち上げから携わり料理長を歴任。

 そんな人が、監修などと言って名前だけ貸すとかではなく、ちゃんとここの厨房に常勤して腕をふるっている、というのですから、そりゃ旨いわけだ。視覚・味覚・臭覚・聴覚五感すべてで味わうお食事も「もみの樹 渋谷本町」の大きな特色です。

 と、ここで、「もみの樹 渋谷本町」の食事を味わってみたくなった、という方に朗報です。3日前までに予約すれば、見学の方でも、毎週日曜日に提供しているアラカルトメニューを、なんと無料!で試食できます。例えば「ふぐと季節野菜の天ぷら」や「にぎり寿司5貫」、カツカレーやロールキャベツも選べます。これはもう、行くしかないでしょう。食事目当ての見学も大歓迎。体験入居やショートステイもできますから、詳しくはお問い合わせください。

 おっと、食事の話になるとつい熱が入りすぎて、もう文字数一杯です。ほんとは他にもさまざまなアクティビティや季節のイベント、第四土曜の夜開催される「サタデーナイトバー」、そして、同施設自慢のオンリーワンプロジェクト、すなわち「感動プロジェクト」など、まだまだ書くべきことはたくさんあるのですが、あとは皆さんご自身で確かめていただくとして、締めの一言をいただきましょう。

 いつもならここで施設長の登場ですが、残念ながら加藤信彦・館長は不在。ということで、今回の締めの一言は、俵山さんのこのお言葉を。

「これから施設の見学に来られる方には、“ここだけは譲れない”というポイントをいくつか、あらかじめ絞ったうえで、お越しいただければ、と思います」

 これは、なにも「もみの樹 渋谷本町」に限ったことではないですね。他にも色々な施設を見て回っておられる方への施設選びのアドバイス、とも受け取れますが、その言葉の裏には、そうした方々に「もみの樹 渋谷本町」を見ていただけたら、きっと気に入ってもらえるだろう、という自信が隠されている、ことを補足しておきます。

 さらに、俵山さんは、「もみの樹 渋谷本町」が、他の施設の見本となるよう、常に心掛けている、とも仰ってました。これはつまり、「もみの樹 渋谷本町」、ひいては、その運営会社である大和ハウス・グループが、これからの介護業界を牽引していく、という決意の表れである、と解釈するのは話が大き過ぎかもしれません。でも、それぐらいの期待をさせてくれるのが、ここ「もみの樹 渋谷本町」である、という私個人の想いを、この項を読んでくださった皆さんにも共感していただけたら嬉しいです。(了)

道場六三郎名誉顧問「大京会」所属の料理長が腕をふるう食事に感動
テーブルの周囲にさりげなく配置されたマシンや平行棒。日常生活の中でトレーニング。
道場六三郎名誉顧問「大京会」所属の料理長が腕をふるう食事に感動
4階木の優しいぬくもりと清潔さのある「ヒノキ風呂」
道場六三郎名誉顧問「大京会」所属の料理長が腕をふるう食事に感動
取材当日のメニュー。取材用に用意されたものではなく、これが日常の食事。

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