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2018年11月06日

介護付有料老人ホーム「IoT美しい日本のだんらん」 (株式会社サンハート)《後編》

入居者の状態などを全職員が共有できる「IoT」システム

 お探し介護ライターが実際に施設へ足を運んで、見て、聞いて、体験して、感じたままを報告する施設訪問レポート。介護付有料老人ホーム「IoT美しい日本のだんらん」の後編です。


 認知症に強い老人ホームとして、全国的に有名だった「SILVER SUPPORT コスモス」の遺伝子を継承する「IoT美しい日本のだんらん」。その奇抜な、いや、独特の名前に気をとられず、認知症ケアでは最先端の老人ホームであることはしっかり頭に入れておいてください。といいつつ、しつこいようですが、名称に関してもう1つ。

 ところで、名前に「IoT」がつくのはなぜ? と、気になっていた方がいらっしゃるかもしれませんので、これについても軽く説明しておきましょう。

 「IoT」は「Internet of Things」の略で、様々なモノをインターネットに接続することで相互に制御する仕組みのこと。同施設でも、館内各所に取り付けたセンサーからインターネットを通じて入居者の状態などの情報を全職員が共有できるシステムを導入しています。

 さらに、「サンハート独自のIoTシステムをつくっていきたい」とは戸倉さん。その具体的な内容については検討中とのことですから、乞うご期待。

 では、やっとですが、「IoT美しい日本のだんらん」へと参りましょう。最寄り駅は都営新宿線「一之江」駅。そこから環七通りを真っ直ぐ1本なので迷うことはまずないと思いますが、徒歩約15分がしんどければ、バスで「古川親水公園」バス亭下車、徒歩約3分。

 取材時は徒歩で、環七を歩き、古川親水公園を過ぎてすぐの江戸川六丁目の交差点を右折すると、堂々7階建ての威容な建物が現れます。あまり目立たない入口から一歩中へ踏み込めば、足元には目にも鮮やかな足拭マット。なんだか汚すと悪いようで気が引けますが、そこで靴を履き替えて、もう1枚ある内扉を開ければ(自動だけど)、左に受付、右に応接セットが並んだくつろぎのスペースが。さほど広くはないですが、全体的に暖色系で、「だんらん」の名にふさわしい、居心地良さそうなロビーは、地域交流スペースとしても使われているようです。

 目に前の廊下の先にもう1つの入口が見えるので、解放感もありますね、そちらの入口は古川親水公園に面し、駐車場もそちら側にあるので、もう1つの玄関でもあり、どちらが正面でも構わないみたいです。つまり玄関は2つある、と思っていいでしょう。

7階特別室があるフロアの共有スペース
7階特別室があるフロアの廊下
7階特別室。和装の玄関

最上階にある豪華絢爛な「特別室」は必見!

 館内のところどころに置かれた飾り物は、ほとんど戸倉さん自ら手掛けたものだそう。その手作り感がますますアットホームな雰囲気を高めています。

 1階は地域交流スペースも兼ねたロビー、特別浴室、事務室、そして厨房。厨房スタッフは、今は便宜上別会社にしているそうですが、もともと同じスタッフ。外注とか業務委託とかではありません。つまり、同社の職員と同様、認知症の知識がある人が腕をふるい、認知症に優しい食事を提供します。ソフト食も希望があれば対応可。

 2階~4階は、それぞれテラスフロアー、ブルーフロアー、グリーンフロアーと称し、各階にAタイプ(18.26~18.51㎡)がそれぞれ12室ずつ。5階イエローフロアーは、Aタイプ10室と屋上スペース。6階スカイガーデンフロアーには、Aタイプ5室とBタイプ(24.26㎡)1室、そしてガーデンスペースも。全部でAタイプ51室、Bタイプ1室、全室個室です。

 もちろん居室も見せてもらったんですが、それは置いといて。いや、置いといちゃいけないんですが、まあ、収納ボックスも含めて一通り完備、全然問題ないですよ、とさらっと流します。そうまでして、ここで力を込めて紹介したいのが、最上階・7階サンズフロアーにある2室の「特別室」です。

 これが、入ってビックリ。一言でいえば、豪華絢爛。といっても装飾品でゴテゴテとかではなくて、広くてすっきりして上質で、ホテルでいえばまさにスイートルーム。和と洋の2室があるんですが、どちらもため息が出るほどの部屋ですぜ。

 また、7階サンズフロアーの住人だけが使える「展望風呂」がなんとも贅沢なこと。そうした特別室の素晴らしさ、特別感を事細かに表現するには、私の拙い筆力ではとても無理なので、皆さんは写真をご覧ください。それでもいまいち伝わらないと思いますので、興味を持たれたらぜひ、見学を申し込んで、実際にご自身の目でお確かめになることをお勧めします。

 それにしても、こんな部屋があるとは、事前に知らされてなかったので、衝撃?と言っても大げさではないほど驚きましたが、これ、パンフレットなんかではあんまりアピールしてないんですよねえ。まあ、お値段もそれなり、だからでしょう。庶民には手の届かない世界がここにありました。

 ですが、それはあくまでこの「特別室」だけの話。施設としては決して高級路線ではないのでご安心を。入居者もごく普通の一般の方がほとんどで、料金も「特別室」を除けば平均レベルと言っていいんじゃないでしょうか。

最上階にある豪華絢爛な「特別室」は必見!
7階特別室の内観
最上階にある豪華絢爛な「特別室」は必見!
7階特別室フロアのVIP専用風呂
最上階にある豪華絢爛な「特別室」は必見!
2~4階の共有スペース

最先端の認知症対策「タクティール@ケア」と「くもん学習法」

 「特別視」で度肝を抜かれた後、1階に戻って、戸倉施設長に話を伺いました。戸倉さんは、かつての「SILVER SUPPORT コスモス」を筆頭に、認知症に強いという定評がある同社で長らく認知症を関わってきました。

 その頃は(今でもそうかもしれませんが)、他の施設では受け入れ困難の重度の認知症患者も評判を聞きつけてやってくるという、まるで認知症の“駆け込み寺”状態だったようですが、それでも戸倉さんは、困るとか、大変だとか思わず、むしろ楽しかった、といいます。

「ある方は戦争体験があって、なんでもないときにいきなり『敵機襲来!』と叫ぶんですよ。その度に僕らは、『避難だ!』といって物陰に隠れるんです(笑)。そうやって認知症の方に合わせるのが面白くて」と、笑う戸倉さんの話に思わずこちらも笑っちゃいますが、よくよく考えればすごい話ですよ、これ。

 そんなすごい話を面白おかしく話す戸倉さんに、認知症に接するときのコツのようなものはないか、と聞くと、「普通をめざしています」とのこと。

「施設に入ったからといって、できなくなる、ことはないんです。それはたとえ認知症であっても同じこと。暴れる人は、拘束するから暴れるんです。普通にしていれば大丈夫ですよ」

 だから戸倉さんは、認知症だからといって特別なことはしません。至って普通。お酒も飲みたい人には飲ませます。スタッフもお付き合いして一緒に飲むこともあるそうです。お酒OKの施設は他にもありましたが、職員と入居者が一緒に酒を飲める施設は、少なくとも今までは聞いたことがありません。

 普通だから、ペットも相談可。でも、他の施設ではペット不可のところも多いですけど、と言うと、「なんで? ペットがダメな理由はなんですか?」と逆に不思議そうな顔で聞き返されました。まったく、本人も意識してないぐらい、普通、なんですねえ。

 おっと、あんまり普通なんで忘れるところでした。最後になってしまいましたが、じつは今回の取材で一番大事かもしれない情報を2つ。それは、同施設が取り組んでいる「タクティール@ケア」と「くもん学習法」です。

 「タクティール@ケア」は、スウェーデンの医療現場で採用されている緩和ケアの手法。主に手・足・背中を柔らかく包み込むように撫でることで、興奮状態や不安感・痛みなどを緩和します。

 「くもん学習法」も、認知症緩和ケアと、生きがいづくりの一環として、毎日取り入れているプログラム。公文式といえば子供向けの学習教材という認識しかありませんでしたが、じつは認知症対策でも最先端。脳トレで有名な川島隆太・東北大学教授と、KUMONと、福岡県の介護施設の3者による共同研究プロジェクトから生まれた「KUMON学習療法」は。認知症の維持・改善を目的とした非薬物療法として、国(文部科学省)のお墨付きだそう。

 戸倉さんは、その「KUMON学習療法」では学習療法マスターという資格を持っているそうです。加えて、「タクティール@ケア」の方でも、詳しいことは聞きそびれましたが、なんでも全国で30人ぐらいしかいないという資格の持ち主で、講演なども行っているそうです。いや、普通そうにしてますが、ほんとはすごい人なんじゃないですか、戸倉さん。

 まあ、それはいいとして、認知症だからといって特別なことはしない、と言いながら、同施設ではそのじつ、「タクティール@ケア」と「くもん学習法」という特別な認知症対策を2つも実施している、ということは、これを機に覚えておいてくださいね。

 「認知症に強い」と謳う施設は他にも多々あります。では、具体的にどう強いのですか?と問われると、なかなか説明が難しい、というところがほとんどでしょう。しかし、ここ「美しい日本のだんらん」では、具体的に「タクティール@ケア」と「くもん学習法」という認知症対策プログラムを実施しており、戸倉さんのような認知症のスペシャリストもいるわけですから、「認知症に強い」のはお題目ではなく、本当に、日本でも有数の「認知症に強い」施設である、と断言しても、決して過言ではないと思います。

 皆さんもぜひ一度、「IoT美しい日本のだんらん」へ足を運んで、認知症の人たちが囲む美しいだんらんを体験してみてください。

最先端の認知症対策「タクティール@ケア」と「くもん学習法」
2~6階の居室Aタイプ
最先端の認知症対策「タクティール@ケア」と「くもん学習法」
廊下にさりげなく置かれているソファ
最先端の認知症対策「タクティール@ケア」と「くもん学習法」
戸倉英人施設長

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